魚の会(うおのかい)主催 平成21年度第3回講演会

「ウナギの謎はどこまで解けたか? −その回遊と産卵−」

塚本 勝巳 氏 (東京大学海洋研究所教授)

演題:「ウナギの謎はどこまで解けたか? −その回遊と産卵−」
今、ウナギの研究は恐ろしいほどの勢いで進んでいる。船に乗ってマリアナ沖で調査している今も、ひと網毎、一晩毎に驚くべき新事実が次々と明らかになっている。このペースでいけば、ウナギはもはや謎の魚とはいえなくなってしまう日が早晩くることだろう。産卵場探しの歴史を振り返ると、レプトセファルス幼生の発見から、海山仮説・新月仮説を経て、プレレプトセファルスの採集へと続く。その後、昨年の親魚の捕獲、そして今年の卵の発見により一応の完結を見た。また一方で、新種ルゾネンシスの発見、系統と進化、集団構造、海ウナギの発見、回遊行動の起源と進化過程など、多様な研究が進んでいる。また一方で、幻の極上品“アオウナギ”の歴史や文化的研究も始まり、研究は大きな広がりを見せている。こうした研究の成果を社会に活かすため、資源研究や保全問題への取り組み、さらにはウナギ人工種苗の生産技術開発研究も活発に行われている。多岐に亘るウナギ研究の最前線を、その回遊行動と産卵生態を中心に紹介する。(開洋丸船上にて 090623新月の夜・塚本勝巳)
講師:塚本 勝巳(つかもと かつみ)氏
東京大学海洋研究所教授、農学博士。専門は海洋生物学、資源生態学で、特に海洋生物の回遊行動や繁殖生態に興味をもち、行動や生態的特性の進化のプロセスとメカニズムを解き明かしたいと考え研究している。研究材料はアユ、シマアジ、サクラマス、ウナギなど。魚類学上大きな謎だったウナギの産卵場を突き止め、初期生活史を明らかにした論文は、イギリスの科学雑誌「Nature」に掲載されるなど、その研究手法は世界の注目を集めている。「川と海を回遊する淡水魚」、「グランパシフィコ航海記」、「海と生命―海の生命観を求めて」など著書、著作多数。
【日時】2009年11月8日(日曜) 14時30分〜15時30分
【場所】神奈川県立生命の星・地球博物館 1階講義室
【参加費】無料
【申込み】事前申し込み不要・当日受付
【主催】魚の会(うおのかい)
【問合せ】神奈川県立生命の星・地球博物館 tel.0465-21-1515(担当:瀬能)

「魚の会(うおのかい)」は、研究や産業、趣味を通じて「魚」に携わる人々が気軽に集い、親睦をはかり、あわせて水圏の環境保全に寄与することを目的として活動しています。第一線で活躍されている著名な先生をお招きして開催している年4回の講演会には、どなたでも自由に参加できます。お知り合いの方もお誘い合わせの上、お気軽にご参加いただければ幸いです。