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講座・催し物

魚の会(うおのかい) 平成28年度第1回講演会

「相模灘はヒラムシの“聖地”」

奥野 淳兒 氏(千葉県立中央博物館分館海の博物館主任上席研究員)

2016年5月29日(日曜)

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2016-05-05

事前申し込み不要・当日受付

2016-05-29

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演題:「相模灘はヒラムシの“聖地”」

「魚の会」の講演ですが、「さかな」を水生動物全般と拡大解釈していただき、今回はヒラムシという海の無脊椎動物についてお話しをします。海の生き物に興味のある方を除けば、ヒラムシはほとんど知られていない動物です。動物の大きなグループでいうと、扁形動物門という分類群に属します。左右相称動物の中では原始的とされており、系統順に掲載されている海洋生物の図鑑などには、不定形のカイメン類、放射型の体をもつクラゲやイソギンチャクなど(刺胞動物)に続き、初めのほうのページで紹介されています。ヒラムシを英語で「マリンプラナリア」と呼びますが、これは理科の再生実験に使われる淡水生物のプラナリア(ウズムシ)に近縁だからです。生態的にはなかなかユニークで、体内にフグ毒の成分であるテトロドトキシンを備え、これを使っての捕食や、ひとつの個体がオスでもありメスでもある「同時的雌雄同体」ならではの繁殖行動などが知られています。そのようなヒラムシの分類学的研究を紐解くと、相模灘に深い関わりがあります。現在、日本でヒラムシの分類学的研究を専門にしている研究者はいません。しかし、太平洋戦争の前までは精力的に研究がなされていました。それを進めていたのは、東京大学三崎臨海実験所や静岡県下田市の須崎にあった三井海洋生物学研究所に在職していた研究者たちでした。しかし、相模灘産ヒラムシ類のタイプ標本の多くは、戦時中の空襲により焼失してしまいました。このような経緯から、多くのヒラムシで相模灘産の標本は「トポタイピック標本(ある新種が見つかったのと同じ場所から採集され、その新種と同じ種に同定できる標本)」となり、世界的に見ても大変貴重です。

 

講師:奥野 淳兒(おくの じゅんじ)氏(千葉県立中央博物館分館海の博物館主任上席研究員)

1969年東京都世田谷区生まれ。日本大学大学院農学研究科修了。博士(理学)。千葉県立中央博物館分館海の博物館主任上席研究員。専門は動物分類学(主に十脚甲殻類)。大学の卒研で分類学の手ほどきを受けた時の研究対象はモヨウフグ属魚類だった。ヒラムシに興味をもつきっかけは、博物館の行事として磯の観察会を担当してきたことによる。主な著書(いずれも共著)に「エビ・カニガイドブック-伊豆諸島・八丈島の海から-」(阪急コミュニケーションズ、2001年)、「エビ・カニガイドブック2-沖縄・久米島の海から-」(阪急コミュニケーションズ、2003年)がある。
 

講演会情報

場所 神奈川県立生命の星・地球博物館 1階西側講義室
開催時間 14時30分~15時30分
料金 無料
主催

魚の会(うおのかい)

「魚の会(うおのかい)」は、研究や産業、趣味を通じて「魚」に携わる人々が気軽に集い、親睦をはかり、あわせて水圏の環境保全に寄与することを目的として活動しています。第一線で活躍されている著名な先生をお招きして開催している年4回の講演会には、どなたでも自由に参加できます。お知り合いの方もお誘い合わせの上、お気軽にご参加ください。

問合せ先 神奈川県立生命の星・地球博物館 担当:瀬能 宏
電話:0465-21-1515 e-mail:senou@nh.kanagawa-museum.jp