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工事などでできた土がむきだしの場所を放置しておくと、雨などで土が流出してしまう。それが急な斜面であったりすると、話はさらに深刻で、土砂崩れを起こしてしまう。それを防ぐために緑化が行われる。植物を生やして、根や根茎で地面を安定させるのである。
コンクリートで被ってしまうのに比べれば、ずいぶんましな方法ではある。しかし、緑化のためにまかれた種子は、多くはシナダレスズメガヤ、オニウシノケグサ、シロツメクサなど、外来のイネ科やマメ科の牧草であった。これらの植物は、まかれた場所からあちこちに逃げ出し、路傍や河川敷でも普通に見られる帰化植物として定着してしまった。
その反省に立って考えられたのが、「郷土種による緑化」である。外国の種を持ち込むのではなく、もともとその付近でも見られるような種で緑化をしようというアイデアである。しかし、同じ種であればいいだろうと考えたのか、どこか遠くから持ってきた植物が使われることがあるようだ。おそらく外国産の種子がまかれていると思われる例もある。
われわれが見慣れたコマツナギは、大きくなってもせいぜい、ひざより少し高くなるぐらいの大きさしかない。ところが工事を終えた斜面などには、軽く人の背丈を超すような大きいコマツナギが生えているのである。今回、当博物館での特別展では、展示ケースにやっと入るような大きいコマツナギが展示されているので、ぜひ背比べをしていただきたい。
同じ種であっても、地域によって少しずつ違う遺伝的な特徴をもっているものである。郷土種による緑化は、地域固有の特性を壊しかねないという、外来種による緑化とは違った問題を生み出している。
(県立生命の星・地球博物館 木場 英久)
シロツメクサ
=マメ科の多年草。花をつむいで首飾りを作ったり、四つ葉のクローバーを探した方も多いはず
※ 2003年8月6日に、神奈川新聞に掲載された記事を再録しました。
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