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丹沢の自然

丹沢山ろくのゾウ化石

 丹沢山ろくの南西部に位置する山北町には、足柄層群塩沢層という地層が分布する。塩沢層は百三十万〜六十万年前にかけてたまった地層と考えられている。この地層中の約百万年前にたまったと考えられるあたりから、一九七三年にゾウの化石が発見された。見つかったゾウの種類はアケボノゾウ Stegodon aurorae といい、歯の化石が二点発見された。

 アケボノゾウは、日本各地の二百万年〜九十万年前にたまった地層から発見されている。肩までの高さが二メートル前後、体の長さは三メートルぐらいで、現生のゾウに比べると胴が長く、足が短い、キバが比較的まっすぐなゾウだった。丹沢山ろくで発見された歯は、ヒトでいうと奥歯にあたる。ゾウの歯は一つの大きさが大きく、発見されたアケボノゾウの歯のうち、大きなものは壊れているものの十五センチもの大きさがある。

 塩沢層からは、アケボノゾウのほかにシフゾウというシカの仲間の化石も発見された。シフゾウは野生の個体は絶滅し、動物園で繁殖しているものが生き残っているだけである。シフゾウは水草が好きで水辺を好み、水に入って水草を食べることが知られている。

 このほか塩沢層からは、オオバラモミや湿気を好むメタセコイアといった植物の化石も見つかっている。シフゾウやメタセコイアのような水辺や湿気を好む生物と同じ地層からアケボノゾウが発見されたことを考えると、アケボノゾウは湿地を好んだかもしれない。そして塩沢層がたまった当時、丹沢山ろくの南側には湿地があった可能性がある。

(県立生命の星・地球博物館学芸員 樽 創)

アケボノゾウの臼歯化石

塩沢層(山北町)産のアケボノゾウの臼歯化石


※ 2003年12月10日に、神奈川新聞に掲載された記事を再録しました。

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