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ルリボシカミキリが、丹沢から初めて発見されたのは一九六七年、山北町大滝沢においてだった。八五年ごろまでの分布は西丹沢に限られていたが、以後は急激に各地に広がり、九〇年代後半になると渋沢丘陵や箱根でも発見されるようになった。現在、丹沢では山ろく部を中心に、ほぼどこでもその美しい姿を見ることができる。
ウスバシロチョウの最初の発見は、六六年の清川村であるが、その後急に分布を拡大して八〇年ごろには東丹沢一帯に見られるようになった。また、西丹沢では八五年が最初であるが、九〇年代前半には西・南丹沢山ろく一帯や箱根に広がり、最近は渋沢丘陵でも発見されている。
この二つの種には、いくつかの共通点がある。もともと津久井から奥多摩方面に分布していたが、丹沢や箱根では知られていなかったこと、おそらく六〇年代に分布拡大がはじまったこと、九〇年代には南丹沢や箱根にも広がったこと、寒地性の種でありながら丹沢では山ろく部に多いこと、などである。
実はスギタニルリシジミという小形のチョウも、近年になってから、南関東周辺で顕著に分布を拡大し、西丹沢や箱根に進出するようになった。
生息環境の劣化による衰退や、温暖化に伴う暖地性の種の増加・進出ならば話はよくわかる。しかし、以上の三種は、ともに寒地性、しかもルリボシカミキリとスギタニルリシジミは自然林や良好な雑木林に生活すると考えられてきた。荒廃しつつある丹沢への、これら二種の分布拡大は、どう考えてもナゾである。
丹沢とその周辺地域で、何か異変が起きているのではないか、そんな不気味さを感じてしまう昆虫たちの分布拡大である。
(県立生命の星・地球博物館学芸員、高桑 正敏)
美しいルリボシカミキリ。最近は丹沢山ろく部に普通に見かけるようになった(筆者撮影)
※ 2003年12月13日に、神奈川新聞に掲載された記事を再録しました。
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