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丹沢の自然

丹沢の猛禽類

 タカやフクロウの仲間のように、他の動物を襲って食べる肉食の鳥を猛禽(きん)類と呼んでいる。今まで丹沢で記録された鳥類は、移入種を除くと百五十八種にのぼり、このうちの十八種が猛禽類である。

 留鳥としては、オオタカやノスリ、クマタカ、フクロウなど七種が確認され、すべてが繁殖しているか、あるいは繁殖の可能性が高いとされている。

 この中で、クマタカは「森の王者」と呼ばれるほど森林に強く依存して生活する種で、森林生態系の最上位に位置する大型の猛禽類である。つまり、この鳥が生息、繁殖しているということは、多様な森林生態系が維持されていることを示している。

 まさに、豊かな森林環境をもつ丹沢を象徴するような鳥である。丹沢全域では、約二十つがいが生息していると推察されているが、環境の変化や人為的なかく乱の影響を受けやすく、環境省がまとめたレッドデータブックでは「絶滅危ぐIB類(近い将来における野生での絶滅の危険性が高い種)」とされている。

 夏鳥としては、ハチクマやサシバ、コノハズク、アオバズクの四種が記録されている。なかでもサシバは、里山を代表する鳥として有名である。繁殖も確認されているが、近年、生息環境である山ろくの谷戸田が、農地整備や宅地開発などで少なくなり、徐々に繁殖個体数が減少している。これは、丹沢に限らず、全国的な傾向でもある。

 丹沢は、首都圏では珍しく、多くの猛禽類が生息しており、観察も比較的しやすい。いつまでもこの環境が保たれてほしいものである。

(県立生命の星・地球博物館 学芸員 加藤 ゆき)

サシバ

サシバ。本州・四国・九州に夏鳥として渡来し、中国南部や東南アジアで越冬する。(撮影・山元 幸夫)


※ 2003年12月16日に、神奈川新聞に掲載された記事を再録しました。

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