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+2℃の世界
縄文時代に見る地球温暖化
氷期と間氷期 −大小のリズムで変動−
月面では空気が無く、約十五日ごとに昼と夜が繰り返されるため、一カ月のうちに表面温度が約マイナス一七〇〜一二〇度の範囲で変化します。それに比べると空気があり、十二時間ごとに昼と夜が訪れる地球の表面温度は、非常に安定しているといえます。
しかし、四十六億年におよぶ地球史の中では、気候は大きなリズムや小さなリズムを持って常に変動してきました。およそ二十二億年前と七億年前には、地表のほとんどが氷に覆われた全地球凍結が起こりました。
それが解けた直後には反対に熱帯のような気候が訪れたようです。恐竜が栄えた中生代は全般に暑い時代でしたが、特に白亜紀には暑い時代が何千万年も続いたようです。
一般に氷河時代と呼ばれるのは、およそ百七十万年前から始まる新生代第四紀ですが、寒冷化は三百五十万年前頃から始まっています。その間、地球は寒暖を繰り返して、グラフはノコギリの歯のようです。
最近百万年の変化に着目すると、およそ八十万年前以降からは、約十万年周期の気候変動が顕著となっていることがうかがえます。これはミランコビッチ・サイクルとして説明されています。
しかし、気候変動が起こる原因は、太陽放射の変動や太陽からの距離の変動といった、エネルギーの入力から始まって、大陸の配置によって変化する海洋や大気の循環などのエネルギーの移動、それに地球からの放射量を左右する氷床の消長、大気の組成、エアロゾル(空気中に浮遊する微粒子)の量などが互いに影響し合っています。
それら相互のかかわりは大変に複雑で、原因と結果をはっきりと対応させることは非常に困難です。
(県立生命の星・地球博物館学芸員・大島 光春)
100万年前から現在に至る海水温の変化。10万年単位ぐらいで大きな振り幅がある
※ 2005年1月20日に、神奈川新聞に掲載された記事を再録しました。
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