第8回 ティム・コールトン著「ハンズ・オン展示」を読んで
第8回 ティム・コールトン著「ハンズ・オン展示」を読んで
Tim Caulton(1998):Hands-on Exhibitions − Managing Interactive Museums and Science Centres −. Routledge, London and New York. が原名です。
- 1.ハンズ・オン展示
- 2.教育的意義
- 3.展示開発
- 4.財政問題
- 5.マーケティング事情
- 6.館運営
- 7.人材活用
- 8.教育プログラムと特別企画運営
- 9.ハンズ・オン展示の今後
の9章からなっていて、イギリス風の地味な変形B5版155頁という手頃な冊子です。博物館とハンズ・オンとなれば、ついたくさんの図や現場写真を期待しますが、グラフや表がいくつかある程度見当たるという非ビジュアルな構成になっています。
副題にCentresの語が使われていることからわかるように、著者のコールトンさんは英国の人で、かつてハリファックスの子ども博物館「ユウリカ」(Eureka)などを手がけた後、シェフィールド大学で講義を担当しておられます。この本では、英国内のみならず、アメリカのハンズ・オン型展示博物館の諸事情が述べられているのですが、中心は、あくまでハンズ・オン‘展示’にあることを意識して読む必要がありそうです。
欧米の子ども博物館や科学センターが近年(1970年代以降)急激に増加したのは、偏にハンズ・オン展示というインタラクティブな参加手法が導入されたからだ、というのが本書の一番言いたいところだと思われます。欧米諸国の博物館構想に当っては、館の理念を大切にすることはもちろんですが、館全体のレイアウトや展示デザインも学芸員・館員の重要な仕事であり、それに特化した人々の働きが大きく物を言うのです。前回登場願ったハンセンさんも博物館展示学の専門家です(第5回・第6回参照)。
日本の博物館では「誰がレイアウトとか展示デザインを担当するのですか?」と問い詰められ、赤面しながら「今のところ展示業者さんとの共同制作ですので…」としか答えられなかったのは、冷汗物の思い出です。ハンズ・オンの考え方はもとより、その展示への工夫が博物館の生命−いのち−だと捉える自覚が不可欠であると、しみじみ思い知らされました。
なお、本書は近日中に、染川・芦谷さんらによって訳されるときいて、たのしみにしています。
※詳細は追ってお知らせいたします。
他に、染川さんによるハンズ・オン関連の著作には次のものがあります。
「ハンズ・オンは楽しい―見て、さわって、遊べるこどもの博物館」著:染川香澄 吹田恭子 工作舎 \1,800
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生命の星・地球博物館館長 濱田隆士
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