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侵略とかく乱の果てに
神奈川の移入生物

自然復元という問題

ラミーカミキリ

 園芸樹や街路樹を植える場合、それらの供給先が遠方であるほど、移入種問題を生じてしまうことになる。まず樹種そのものの遺伝子汚染などの問題だが、これはすでに紹介されている。もう一つが、移植に際しての他生物の随伴である。

 随伴は土壌中の小動物や種子で頻繁に生じていると推定されるほか、次のようなケースもある。

 県内でラミーカミキリが発見されたのは、一九四八年、小田原市においてであった。このエキゾチックな種類は中国原産で、幕末に輸入植物のラミー(イラクサ科の落葉低木)に随伴して長崎に侵入し、終戦までには九州一帯から名古屋まで散発的に広まっていたらしいが、静岡県を飛び越えていきなり小田原に侵入したのである。

 やがて箱根・丹沢山ろく、津久井、奥多摩方面へと分布を徐々に拡大する一方、千葉県北部や横浜市保土ヶ谷区、川崎市多摩区、三浦半島にも飛び火するに至った。飛び火現象の原因として考えられたのが、中国原産の園芸樹ムクゲの移植である。

 ラミーカミキリは主にカラムシを食べるが、しばしばムクゲなども加害する。このため、西日本から小田原へ、あるいはどこか発生地からムクゲが移植されれば、移植先で発生してしまう可能性がある。こうした例は、ラミーカミキリに限らず多数あると思われるが、国内間における移動の場合は、ふつう自力到達か移入かの区別が困難なため認識されない。

 では、樹木の移植に伴う移入を避けるにはどうしたらよいか。基本は、できるだけ近場からの調達、かつ成長木ではなく、種子をまいて育てることである。近場に供給元がなければその樹種をあきらめるべきだし、育成が面倒と言うなら、それは行為者のわがままであろう。

(県立生命の星・地球博物館 高桑正敏)

ムクゲとラミーカミキリ

ムクゲとラミーカミキリ(円内)


※ 2003年8月7日に、神奈川新聞に掲載された記事を再録しました。

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