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侵略とかく乱の果てに
神奈川の移入生物

栽培・養殖の危険性

あふれ出る園芸植物

 花の色や咲く季節が異なる園芸植物の種子を混合したものが、ワイルドフラワーの名で販売されている。これをまくと、季節ごとに異なった花が咲き、色とりどりのお花畑を演出することができる。

 用いられる園芸植物は、その年にお花畑を出現させるため、主に一年草や越年草が用いられる。また、栽培の容易なものが選ばれているため、通常の園芸植物に比べて管理に手間がかからない。そのため、鉄道、道路、河川敷の公園、ダム周辺などで、風景を演出する目的で用いられるようになった。

 しかし、栽培が容易な一年草や越年草を用いているため、結実すると種子を散布し、翌年からは周囲に広がり、やがては帰化植物になることがある。「神奈川県植物誌2001」の分布図を見ると、オオキンケイギク、ハルシャギク、キヌガサギクなど、ワイルドフラワーに用いられる植物の一部が急増している。

 美しい園芸植物を楽しむことは、けっして悪いことではないし、多くの園芸植物は野生化する心配はないと思われる。しかし、セイタカアワダチソウ、フランスギク、オオハンゴンソウ、オシロイバナ、オオケタデ、コウリンタンポポ、ムシトリナデシコ、タカサゴユリ、トキワツユクサ、ツルニチニチソウ、キショウブ、ハナカタバミなど、帰化植物図鑑のページをめくると、すでに多くの園芸植物が帰化植物となっていることも事実である。

 これ以上、帰化植物の種数を増やさないためにも、繁殖力の旺盛な植物の栽培は十分な管理のもとで行なう必要がある。風景を演出する目的で用いられるワイルドフラワーは、大規模に行なわれるため、帰化植物の供給源になりやすい。管理の行き届かない自然に近い空間でのワイルドフラワーの利用は、帰化植物の生態系や生物多様性への影響を考えると慎むべきであろう。

(生命の星・地球博物館 勝山輝男)

オオキンケイギク

ワイルドフラワーに用いられるオオキンケイギク


※ 2003年8月8日に、神奈川新聞に掲載された記事を再録しました。

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