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侵略とかく乱の果てに
神奈川の移入生物

密航者たち

アフリカマイマイ

 唱歌「かたつむり」で、『角出せやり出せ』とはやされるカタツムリはどの種類のカタツムリだろう。在来のマイマイ類は歌になるほど愛らしい。しかし、移入種アフリカマイマイは愛らしさとはほど遠く、まがまがしさすら感じるほどである。

 東南アフリカ・モザンビークを原産地とするアフリカマイマイは、殻長が二十センチ近くにも達する世界最大級のカタツムリ(陸産巻き貝)である。一九三〇年代に食用目的で日本に導入され、各地で養殖が行われた。

 多くの養殖種同様にこの種も野外へ逸出し、現在は琉球列島、小笠原諸島に定着している。この種は農作物を食い荒らす上に、人を死に至らしめる広東住血線虫(かんとんじゅうけつせんちゅう)の中間宿主であることから、現在では特殊病害虫に指定され、移動は厳重に禁じられている。

 この厄介なカタツムリを駆除するために、六〇年代にヤマヒタチオビガイという肉食カタツムリが北米から小笠原諸島の父島に導入された。しかし、天敵を導入してアフリカマイマイを駆除しようとする事業は、最悪の結果をもたらした。ヤマヒタチオビガイは自分より大きなアフリカマイマイを捕食できず、カタマイマイ類など小笠原固有のカタツムリ類を攻撃し、絶滅へと導いてしまっているのである。

 さて、アフリカマイマイに関して、非常に気になる“事件”があった。昨年八月、横浜市鶴見区在住の方から、巨大なカタツムリを街中で発見した、という情報が寄せられたのである。博物館で生体を確認したところ、間違いなくアフリカマイマイであった。植物防疫所に連絡するよう話をしたのだが、一体、移動が厳しく禁じられているこの種がなぜ鶴見区で発見されたのだろう。たちの悪いいたずらなのだろうか。

(県立生命の星・地球博物館 佐藤 武宏)

アフリカマイマイとヤマヒタチオビガイの標本

アフリカマイマイ(左)とヤマヒタチオビガイ(右)の標本(県立生命の星・地球博物館蔵)


※ 2003年8月18日に、神奈川新聞に掲載された記事を再録しました。

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