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侵略とかく乱の果てに
神奈川の移入生物

密航者たち

ブタクサ食うもの

 ブタクサは北アメリカ原産の帰化植物で、明治の初めごろの密航者である。花粉症の原因植物としても知られる“嫌われ者”の雑草だ。しかし、このブタクサ、近年は東京や神奈川で姿を見ることはまれになった。

 観察会で、初心者の方に「ブタクサとヨモギの違いを教えてください」と頼まれても、説明すべきブタクサが見当たらないのである。この現象、喜んでいいのか悪いのか分からないが、どうやら後者のようである。なぜなら、その原因は、やはり海外からの密航者であるブタクサハムシと名付けられた甲虫による食害だからである。

 ブタクサハムシも北アメリカ原産で、一九九六年、神奈川県、東京都、千葉県で発見されるや、翌年にはほぼ関東全域に広がり、現在では、西日本にも広く進出している。このブタクサハムシ、当初はブタクサを集中的に食べていたが、それを食べ尽くすと、やはり北アメリカ原産で、河川敷などで猛威をふるうオオブタクサも食べだした。

 ブタクサもオオブタクサも、故郷から遠く離れた日本で、まさか故郷からやって来た天敵ともいえる昆虫に“ご対面”するとは思わなかったに違いないが、驚いたのはブタクサハムシも同じではなかろうか。

 ともに外国からやって来た密航者が、食べられようが食べようが、日本の本来の自然には影響がないようにも思える。しかし、ブタクサハムシの食害はブタクサやオオブタクサだけにとどまらず、在来植物のヨモギや園芸種のヒマワリなどでも知られるようになった。

 先日、訪れた長野県の道端でブタクサを見た。その周辺には、ブタクサハムシも進出していないのだろうか。なんとなく懐かしいような、憎らしいようなブタクサとの久しぶりの対面であった。

(県立生命の星・地球博物館 田中 徳久)

オオブタクサとブタクサハムシ

食害されているオオブタクサとブタクサハムシ(円内)
※ 神奈川新聞に掲載された写真は「ブタクサ」でした。


※ 2003年8月19日に、神奈川新聞に掲載された記事を再録しました。

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