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侵略とかく乱の果てに
神奈川の移入生物

放たれたペットたち

ミシピッピーアカミミガメ

 子供たちには、ハムスターと並んで「ミドリガメ」もペットとしての人気が高い。

 ミドリガメという呼び名は、北米南部から中米にかけて分布するヌマガメ科のうちで、ふ化したばかりの子ガメが明るい緑色をした数種類のカメの総称である。一九五〇年代後半に、飼いやすくて美しいこのカメが日本に輸入されると、たちまち人気が沸騰した。輸入開始当初はふ化したばかりの子ガメを原産地で一匹ずつ捕まえていたのだが、それでは需要に追いつかず、ルイジアナ州に大規模な養殖場ができた。そこで養殖され大量に供給されたのが、ミドリガメと総称されていた中の一種「ミシシッピーアカミミガメ」という種類である。

 ミシシッピーアカミミガメの子ガメの鮮やかな緑色は、ふ化後二年目ごろから失われ、成長に伴って甲羅の色は黒ずみ、気性も荒くなって人の指にもかみつくようになる。かわいかったペットが“凶暴なならず者”になったとき、捨て犬ならぬ「捨て亀」が発生する。明らかに捨てられたと思われるカメが市街地の河川、神社や公園の池で目撃されるようになり、七〇年代になると自然繁殖も確認されるようになった。さらに残念なことに、日本では個人の捨て亀以上に大量の「棄(す)て亀」が横行しているのだ。安価で大量に仕入れ、売れ残ったミドリガメを、シーズン終了とともにそっくりそのまま捨ててしまう、不心得な業者が後を絶たないといわれている。

 多量に遺棄されたミシシッピーアカミミガメが、えさや繁殖場所などで競合する在来種のクサガメやニホンイシガメを、日本の水辺から追いやってしまう日がやってこないとは言いきれない。

(生命の星・地球博物館 新井 一政)

ミシシッピーアカミミガメ

アカミミガメの和名については、研究者の間でさまざまな見解が示されているが、今回の展示では「ミシシッピーアカミミガメ」に統一した


※ 2003年8月21日に、神奈川新聞に掲載された記事を再録しました。

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