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侵略とかく乱の果てに
神奈川の移入生物

放たれたペットたち

ハリネズミ

 ハリネズミ類はヨ−ロッパでは最もなじみの深い小型ほ乳類の一つである。中国や朝鮮半島にも生息しているが、わが国には自然分布はしていない。そのハリネズミが突如として日本に出現したのは、ペットとして輸入され、それが逃げ出すか、放たれるかして野生化するに至ったと考える以外にはない。

 小田原市の郊外でハリネズミ類の生息が確認されたのは、一九八七年のことである。この前後に岩手、長野、富山、栃木県など本州の各地で発見が相次いだ。

 針状の毛で覆われた体をボール状にして身を守るのが特徴で、生きたハリネズミを手にしたときは、鋭いトゲに刺されないかと、思わずこの「イガグリ」をそっと手のひらに載せたものである。富山県の発見例は「犬を散歩させていたところ、ハリセンボンを拾った」という通報によるものであったという。ハリセンボンはフグに似た魚である。

 日本で発見されているハリネズミは、ヨ−ロッパ産のナミハリネズミか、それに近い種と考えられるが、頭骨の特徴、針の形やパターン、耳介の長さなどに基づく分類学的な調査が必要である。生態についてもほとんど分かっていない。

 ハリネズミ類は小動物から種子や果実まで幅広い食性を持ち、冬眠によって厳冬期をかわすことができる。また、競争相手となるような食虫類が日本には見当らないことから、すでに定着の段階に達しているかもしれない。

(県立生命の星・地球博物館 中村一恵)

ハリネズミ

大井町で捕獲されたハリネズミ。ネズミの名が付くが、モグラやヒミズと同じ食虫類


※ 2003年8月22日に、神奈川新聞に掲載された記事を再録しました。

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