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侵略とかく乱の果てに
神奈川の移入生物

放たれたペットたち

アライグマ

 愛らしくユーモラスな顔立ちとしぐさから、アライグマは万人に人気の高い動物である。一九七〇年代後半に、アライグマを主人公とするテレビアニメが放映された後には、ペットとして飼育される数も増えた。

 北米が原産のアライグマは、体重二〇キロ前後の中型ほ乳類で、もちろんクマとは全く違う動物である。「アライ」とは、洗うように手をこすり合わせる動作からきているのだろうが、最近では、気が「アライ」ことの方が有名である。ペットとしての飼育の難しさや飼育施設からの相次ぐ逃亡と分布域の拡大や農作物への被害などが頻繁に報告されるようになったからである。移入種アライグマをめぐる問題の始まりである。

 アライグマは雑食性で、果実・野菜・穀類だけでなく、ネズミ、ネコ、鳥、卵、ザリガニ、ヘビ、昆虫なども食べる。また、器用な指を使って木にも登る。繁殖力も高く、条件のいい環境では年二回の出産も行うようだ。タヌキやアナグマ、キツネなどの在来の中型ほ乳類にない特徴を持つ、新しい種が生態系に与える影響は大きいと予想される。

 県内では、八〇年代後半からアライグマ生息の情報が寄せられるようになった。特に、鎌倉市は古い日本家屋などに侵入して繁殖もできるような場所に恵まれ、、アライグマの野生化・定着が急速に進んだ。

 野生化の発見から十年が経過してから、アライグマによる被害は爆発的に増加し、被害地域も県央や三浦半島まで広がった。夜行性のため、早期発見が遅れるようだ。アライグマが県内に今、どれだけの広がりをみせているのか不明だ。潜伏期間中に生息情報を集め、対策を立てる必要があるのだが。

(県立生命の星・地球博物館 広谷 浩子)

アライグマ

県内の被害地域で捕獲されたアライグマ(撮影 今野加奈子)


※ 2003年8月23日に、神奈川新聞に掲載された記事を再録しました。

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