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侵略とかく乱の果てに
神奈川の移入生物

放たれたペットたち

ガビチョウ

 近ごろ、「森の中でよく響く美しい声で鳴く鳥はなにか?」といった質問が多く寄せられるようになった。話を聞くと、ほとんどの場合、ガビチョウという鳥である。

 ガビチョウはツグミぐらいの大きさで、中国南部や台湾、インドシナに分布するチメドリ科の鳥類である。ガビチョウの中国名、「画眉鳥」は目の周りが白いことに由来し、中国では古くから鳴き声を楽しむために飼育されてきた。日本へは、江戸時代にはすでに輸入されていたようだ。

 数年前まで、日本へ鳴き声を楽しむために輸入され、主に大都市のペットショップで販売されていたが、いつの間にか店先から姿を消し、代わりに野外で観察されるようになった。現在、関東や福島、長野、九州北部で生息が確認されている。

 飼い主の元から逃げ出したり、あるいは意図的に放鳥されたりした結果、野外で繁殖し分布を広げているのだろう。県内では、一九九五年に藤野町で初めて確認されてから急速に分布を広げ、現在は丹沢や箱根を中心に生息し,下草のよく茂った森林を好む。

 ガビチョウが増えたからといって、森に目立った変化はないように思える。しかし、同じような環境を好む他の鳥類に対し、餌や繁殖環境の面で競合している可能性は高く、餌となっている昆虫類や植物への圧力を合わせて考えると、在来生態系への影響は皆無とはいえない。

 一度、定着した個体を取り除くことは不可能に近いが、新しい移入鳥類を増やさないようにするのは簡単である。飼育した鳥は最後まで責任を持って面倒をみる−これさえ守ってくれれば何ら問題はないのだ。

(県立生命の星・地球博物館 加藤ゆき)

ガビチョウ

森の中でさえずるガビチョウ。鳴き声はクロツグミによく似ている(撮影 重永明生)


※ 2003年8月28日に、神奈川新聞に掲載された記事を再録しました。

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