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侵略とかく乱の果てに
神奈川の移入生物

社会問題のはざまで

外国産カブトムシ

 近年、それまで植物防疫法によって禁止されていた外国産のクワガタムシ・カブトムシの輸入が大幅に規制緩和され、世界各地から大量に輸入されるようになった。

 その数は二〇〇二年には、なんと百十万頭を超えたが、これ以外に違法に輸入されているハナムグリ類なども多くの業者が扱っているのが実情である。外国産昆虫は安価になり、その普及は驚くべきスピードで進行している。

 入手が容易になるにしたがって、外国産昆虫の野外採集例が全国から報告されるようになった。これは飼育中に逃げ出したものとともに、意図的に放逐されたと考えられる例もかなりある。

 外国産の昆虫の国内への持ちこみは、さまざまな問題を引き起こすが、代表的なケースとしては次のようなものである。

現地では、(1)特定の種が大量に継続的に採集されることでの採集圧(2)保護されている昆虫が違法に採集される―などの問題があり、国内で飼育昆虫が野外に逃げ出した際には、(1)国内にも同種が分布するもので生じる遺伝子汚染(2)移入種と在来種との競合(3)農業害虫になる危険性(4)日本には分布していなかった寄生虫を持ち込む危険性―などの問題が指摘されている。

 実際に神奈川県内でも、この数年でアトラスオオカブトムシ・コーカサスオオカブトムシ・シロスジオオツノカナブン・スマトラオヒラタクワガタ・コノハムシなどが野外で採集されている。飼育する人は、飼育した昆虫は絶対に放さない(ペットは死ぬまで責任をもって飼うのと同様)、飼育下から逃げ出さないように細心の注意を払う、などの基本的なことを強く心がけていってほしい。

(県立生命の星・地球博物館 苅部 治紀)

アトラスオオカブトムシ

県内でも採集されているアトラスオオカブトムシ

 

※ 2003年9月9日に、神奈川新聞に掲載された記事を再録しました。

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