2014年度特別展関連「どうする?どうなる!外来生物」 連載記事

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「どうする?どうなる!外来生物 1. 外来生物について」

最近は、生物多様性とその保全の重要性が理解されるようになり、また生物多様性を損なう脅威として、外来生物問題がクローズアップされるようになった。

「外来生物」とは「その自然分布域外に、人間が関与して導入した生物」のこと。例えば、動物園や植物園での展示物の多くが外来生物である。イネなどの作物や、熱帯魚などのペットも。つまり今の社会は、外来生物なしには成り立たない面もあるが、飼育・栽培下できちんと管理されている限り、問題を生じない。

しかし、自然の中に生活する外来生物は違う。これには、タイワンリスのように飼育下から野外へと逸出したものと、ブタクサのように海外からの物資に紛れて侵入したものとがある。どちらにしても、在来の生物と食・被食の関係、あるいは餌・栄養資源や生活場所をめぐる争いを生ずるなど、地域の生物多様性=自然史を多少とも撹乱する。中でも、ブラックバスやアメリカザリガニなどは生態系に大被害を与える。

駆除を行うにも、自然の中だけに難しい。かわいそうという感情や、税金の無駄遣いという意見もある。が、手をこまねくなら、確実に生物多様性は損なわれる。

いまや湘南名物ともなりつつある外来のタイワンリス

いまや湘南名物ともなりつつある外来のタイワンリス(筆者撮影)

(当館名誉館員 高桑 正敏)

※こちらは2014年7月18日付け神奈川新聞に掲載された記事の内容を紹介しています。

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