2014年度特別展関連「どうする?どうなる!外来生物」 連載記事

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「どうする?どうなる!外来生物 2. 河川敷の外来植物」

日本では在来植物に被われている所へは外来種はそう簡単には侵入できない。土地造成を行うなど人為的に裸地をつくり、在来種の生育を制限するような土地管理を行うと外来種が入り込みやすくなる。

ところが、河川敷は自然の空間であるにもかかわらず、外来植物が多く生育する場所になっている。

上流にダムができて、河川の中下流には大きな石は運ばれてこなくなり、細かい砂や泥が増え、周辺の農地や下水からは、窒素やリンなどの栄養分が供給される。

このような河川が増水して裸地ができると、豊富な養分を使ってヒメムカシヨモギ、オオブタクサ、アメリカセンダングサ、アレチウリ、シナダレスズメガヤ、オニウシノケグサなどの外来植物が急速に繁茂する。

カワラノギクやカワラヨモギのような日本の礫(れき)河原に特有な植物は、貧栄養な環境で増水に耐え、少しずつ成長するため、成長の早い外来雑草との競争には勝てない。外来雑草が繁茂した河川敷からは河原に特有な昆虫も姿を消してしまう。河川敷の生物群集は人間による河川環境の改変と外来生物により大きく変わってしまった。

酒匂川の礫河原に生える外来のヒメムカシヨモギ

酒匂川の礫河原に生える外来のヒメムカシヨモギ(筆者撮影)

(当館学芸部長 勝山 輝男)

※こちらは2014年7月25日付け神奈川新聞に掲載された記事の内容を紹介しています。

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