2014年度特別展関連「どうする?どうなる!外来生物」 連載記事
「どうする?どうなる!外来生物 3. 船のバラスト水によって運ばれる生きもの」
横浜には今日も世界中から多くの船が来航する。もしかするとその船には外来生物が密航者として乗り込んでいるかもしれない。
船の総重量を調整し船体を安定させるために積載される、おもりとしての海水をバラスト水という。海の中にすむ無数の生きものの成体、幼生、卵もバラスト水とともに船に積み込まれ、その目的地で排出される。
バラスト水によって非意図的に運ばれたとされるシマメノウフネガイ、イッカククモガニ、チチュウカイミドリガニといった外来生物は、神奈川やその周辺地域で最初に発見されている。最近の注目種はホンビノスガイという大型の二枚貝。1998年の東京湾での最初の発見以来、じわじわと分布を広げつつある。
バラスト水由来の外来生物は、誰がいつどのように持ち込んだのかがわからない上、気が付いたときには相当数が生息してしまっている、という特徴を持つ。前者はしばしば責任の所在をあいまいにし、後者は積極的対策の足かせとなる。
わが国ではつい最近、海洋汚染防止法が改正された。法に基づくバラスト水管理は、非意図的導入に対策を講じる大きな一歩となることを期待されている。
原産地の北米東海岸ではクラムチャウダーなどに利用される
ホンビノスガイ(KPM-NGD000006)
殻長(横幅)は83ミリ(筆者撮影)
(当館学芸員 佐藤 武宏)
※こちらは2014年8月1日付け神奈川新聞に掲載された記事の内容を紹介しています。