2014年度特別展関連「どうする?どうなる!外来生物」 連載記事

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「どうする?どうなる!外来生物 4. ペット昆虫が引き起こす問題」

子供たちの憧れであるオオクワガタや、海外産のカブトムシ・クワガタムシからカマキリやタガメまで、最近は多くの昆虫がペットとして販売・流通しています。読者の中にも、これらペット昆虫を飼育している人がおられるかと思います。

子どものころに憧れた世界中の昆虫たちに日本で会えることはうれしい半面、原産地で初めて対面する感動を逃しているようで、寂しくもあります。これらのペット昆虫たち、ひとたび野外に放たれたら、在来の生き物を脅かす外来種となります。

海外産のペット昆虫が国内で定着する可能性や、定着した際の影響についてはほとんど検討されていませんが、在来種との競合・交雑のほか、ダニやウイルスなどの病害虫の媒介、農林業への被害を引き起こす恐れがあります。また、国内産のペット昆虫も問題を引き起こします。カブトムシやヒラタクワガタのように、各地に独自の地域個体群の存在が知られる種では、放たれた他の産地の個体群との交雑が、在来の個体群にとっての脅威となっています。

安易な気持ちで昆虫を放すことが、地域の自然を破壊する恐れがあることを、飼育する人はきちんと知っておくべきでしょう。

神奈川県産の在来のヒラタクワガタ、他地域の個体群と交雑する恐れがある

(当館学芸員 渡辺 恭平)

※こちらは2014年8月8日付け神奈川新聞に掲載された記事の内容を紹介しています。

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