2014年度特別展関連「どうする?どうなる!外来生物」 連載記事

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「どうする?どうなる!外来生物 6. 鶴は千年、亀は万年?」

新たにペットを迎え入れる際、最後まで世話をする覚悟が必要である。犬や猫であれば、15年くらいの付き合いを予想できるだろう。では、爬虫(はちゅう)類の中でもペットとして最も流通しているミシシッピアカミミガメ(愛称ミドリガメ)の寿命を皆さんはご存じだろうか。

「鶴は千年、亀は万年」ということわざがある。さすがに万年の寿命はないが、インド洋や太平洋の島嶼(とうしょ)に生息するゾウガメは100年以上生きる。ミシシッピアカミミガメはこれに比べれば短いが、犬や猫よりも長く、20~40年生きる。つまり、われわれの人生の半分近くを共にする覚悟で家族に迎えなければならない。また、販売されているものは鮮やかな緑色の甲長3センチ程度の幼体だが、成長すると甲羅は茶色にくすみ、30センチ近くにまで達し、性格は攻撃的になる。飼いきれなくなった個体は野外に放たれ、現在では日本全国に分布してしまった。雑食であるため在来の動植物を食い荒らす。特に、在来のカメの卵を捕食するため生態系への影響が問題となる。現在、輸入や飼育を禁じる「特定外来生物」への指定が検討されているが、個人の飼育責任についてもう一度考えていただきたい。

米国南部からメキシコ北東部に自然分布するミシシッピアカミミガメの成体(左)。

米国南部からメキシコ北東部に自然分布する
ミシシッピアカミミガメの成体(左)
この成体の甲長は25センチ、幼体は3.5センチ(筆者撮影)

(当館学芸員 松本 涼子)

※こちらは2014年8月22日付け神奈川新聞に掲載された記事の内容を紹介しています。

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