2014年度特別展関連「どうする?どうなる!外来生物」 連載記事

>関連記事一覧に戻る

「どうする?どうなる!外来生物 11. 私たちにできることは?」

外来生物問題では、しばしば「外来生物の駆除」の取組みが注目される。駆除に対する批判的な意見もあるが、駆除はわずかに残された在来の生きものたちを救うための、おそらく最後の手段であることも忘れてはならないだろう。

ただし、私たちには外来生物の駆除に至る前にできることがある。それは新たな「駆除すべき外来生物」を生み出さないことだ。「逃げ出しそうな生きもの、成長して世話ができなくなりそうな生きものは育てない」「本来のすみかでないところに放さない」「一度育て始めたら生きものが死ぬまで世話をする」などの約束を私たち一人一人が守ることが、「駆除すべき外来生物」を生み出さないことに直結する。

社会全体で実施できる取組みやルールの整備も多くあるだろう。例えば、外来生物になりそうな生きものを販売しないことや、販売する場合には、健康に対する危険性がたばこの包装に明示されるように、危険性の情報提供を行うこと、などが挙げられる。

私たちが生きものから受ける恩恵はたくさんある。在来の生態系を守りつつ、さまざまな生きものたちと賢くつきあう方法が私たち一人一人に求められている。

ランタナ(シチヘンゲ)

ランタナ(シチヘンゲ)
見栄えのする園芸植物だが、世界の侵略的外来種
ワースト100にも挙げられている(筆者撮影)

(当館学芸員 大西 亘)

※こちらは2014年9月26日付け神奈川新聞に掲載された記事の内容を紹介しています。

↑ページのトップに戻る