神奈川県立生命の星・地球博物館

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2004年6月15日発行 年4回発行 第10巻 第2号 通巻37号 ISSN 1341-545X

自然科学のとびら

Vol.10, No.2  神奈川県立生命の星・地球博物館  Jun., 2004


カンテンダコ

佐藤武宏(学芸員)

カンテンダコ

カンテンダコHaliphron atlanticus Steenstrup, 1852
KPM-NG0020234 佐藤武宏 撮影

A:全体(オレンジ色のスケールは50センチメートル)
B:基部の吸盤の拡大
C:眼の拡大

 水産総合研究所相模湾試験場は、漁業者の方々と間近に接することが多いため、時々面白い生きものを博物館に紹介してくれることがあります。

 その試験場の石黒雄一さんから電話があったのは、2002年12月20日のことでした。真鶴の沖約2キロメートルの場所で、漁業者の方が水面に浮かんでいた、大きくて不思議なタコをすくい上げ、たまたま近くにいた試験場の船に渡してくれた、というのです。

 このタコは全長が1メートルに達する大きな個体でした。博物館に持ち帰って観察した結果、体が寒天質であること、傘膜が腕の先端近くまで発達していること、吸盤が基部で1列、端部で2列に並ぶことなどの特徴から、このタコをカンテンダコと同定しました。調べてみると、カンテンダコの採集記録や、標本は極めて珍しいことがわかりました。

 通常、水深数百メートルのやや深い場所に生活しているカンテンダコが、なぜ海面を漂っていたのかはわかりません。しかし、類い稀なる偶然の結果、博物館にたどりついた、ということだけは確かです。保存のためホルマリン水槽に収めましたが、寒天質なためか、しっかり固定されず、今でもプルンプルンとしています。

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