神奈川県立生命の星・地球博物館


2005年3月15日発行 年4回発行 第11巻 第1号 通巻40号 ISSN 1341-545X

自然科学のとびら

Vol.11, No.1  神奈川県立生命の星・地球博物館  Mar., 2005


蔵王の樹氷(地蔵山から朝日連峰を望む)

大島光春(学芸員)

ヒラアシキバチ

2005年1月23日
撮影者:佐藤武宏
左下:日本古生物学会第154回例会講演予稿集
樹氷の絵:井上 望(山形大学理学部3年生)

蔵王で樹氷ができる理由は、(1)オオシラビソ(アオモリトドマツ)からなる常緑針葉樹林であること、(2)日本海の対馬暖流によって水蒸気を多く含んだ北東風が、朝日連峰でたくさんの雪を降らせるため、蔵王では雪が多すぎず、少なすぎないこと、(3)一度雪を降らせた雲が山形盆地へ下ってから蔵王に達するのですが、この雲が過冷却水滴を蔵王に吹き付けることです。

山形市で開催された古生物学会のシンポジウムでは、古環境復元の指標として海底コアの有孔虫や放散虫化石の有用性が発表されていました。それによれば有孔虫では6000年くらい前から、放散虫でも3000年くらい前から下北沖の海洋環境が現在とほぼ同じように暖かくなったと考えられるそうです。

1万年前には樹氷なく、千年前には樹氷まで行けず、千年後には地球温暖化で樹氷ができなくなっているかもしれません。私たちは今、新幹線を降りて、ハイヒールでも(推奨しませんが)樹氷を見ることができます。幸せな時期に生まれた感謝しつつ、樹氷のある景観を堪能しましょう。

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