神奈川県立生命の星・地球博物館


2005年3月15日発行 年4回発行 第11巻 第1号 通巻40号 ISSN 1341-545X

自然科学のとびら

Vol.11, No.1  神奈川県立生命の星・地球博物館  Mar., 2005



展示シリーズ15 ジャンボブック展示トピックスコーナー

山下浩之(学芸員)

写真:ジャンボブック展示トピックスコーナー最新展示(第26回).
この写真は、全展示の1/4面のみで、資料が取り付けてありません。
ここには大磯丘陵で見られる火山灰のうち、 代表的なものが並べら
れています。これらの火山灰には、「タマゴサンド」や「赤鬼黒鬼」など
といった奇妙な愛称がついています。 白や黄色の火山灰をはじめ、
赤、青、黒など、色合いが大変きれいです。カラーでないのが残念!

1. はじめに

当館の3階にあるジャンボブック(JBと略します)展示は、巨大な百科事典の形をしたケースの中に実物標本(一部複製)を展示したもの です。全部で27タイトルが設けられており、分類ごと、あるいはコレクションごとに展示されています。この展示は、開館当初から数年ごとに 展示替えを行なう予定でいました。展示室の奥にあるJB編集室はそのための部屋です。しかし、諸般の事情から展示替えが行なわれている (行なわれた)ものは数少ないのが現状です。その中で、第27巻にあたるトピックスコーナーは、開館以来24回も展示替えが行なわれて きました。ここでは、トピックスコーナーの展示替えと最新の展示の紹介をします。

2. JB展示トピックスコーナーとは

JB展示トピックスコーナーは、JB展示室の出口にあります。開館当初から、年に数回の地球科学系の展示替えを行なうことを 目的に作られました。そのため、どんな展示にも対応できるように、ケースの右上の写真が地球になっています。他のJB展示と見比べると、 展示台や資料ラベル等、明らかに素人が作ったことがわかります。特に資料の取り付けには釣り糸やワイヤーを使っているために、 美しさに劣ります。逆に言えば、凝らずに次々と展示替えができることがメリットでしょうか。

3. 展示ができるまで

トピックスコーナーの展示ができるまでの流れを紹介します。 1立案(最近はネタに乏しくなってきました) 2資料収集(神奈川県近隣で資料収集ができる場合は採集に出かけます。そのため一番時間を費やします。でもやりがいがあります) 3資料加工(石洗いや磨き、岩石薄片つくりなど。手間がかかります) 4展示レイアウト(何をどこに配置するか?下の絵はどうするか検討します) 5解説文作成 6キャッチコピー募集(一番悩みます) 7資料取り付け(板に資料を釣り糸やワイヤーで取り付けます) 8パネル貼り(情報コーナー(下面)やラベルをパネルに貼ります) 9展示替え 開館当初から第13回くらいまでは、学芸員が上記の作業のほとんどを行い、展示替えだけを地学ボランティアにお願いしていました。その後、年に3回行なわれる展示替えのうち1回を夏に行なわれる博物館実習の実習内容にあてるようにしました。22回以降は地学ボランティアに企画から入ってもらい、資料収集や資料加工を含め、1年間をかけて展示を作成しています。なお、1〜21回までは下記のHPで紹介しています。 http://www1.cominitei.com/pacgeo/jumbobook/index0.htm

4. 悩ましい、キャッチコピー決め

さて、展示準備の過程の中で、一番悩ましいのはキャッチコピーを考えることなのです。過去に展示されたものの中から、ユニークなキャッチコピーを紹介します。中には解説しないと、なんのことだかわからないものもあるかと思います。 第4回 <海底から蛇々―ン 1996.4.21〜1996.7.15> これはオフィオライトと呼ばれる海洋プレートを構成する岩石を紹介したものです。これらの岩石は、玄武岩や斑レイ岩、カンラン岩などがありますが、このうちのカンラン岩は、変質によって蛇紋岩という岩石に変わっています。蛇紋岩とはその名のとおり、「へび」に見られるような模様が岩石に見られることからその名がつきました。かつては海底にあり、現在は地上で見られる蛇紋岩を多数展示したことから、このタイトルになりました。 第9回 <温「最古」知「地球」 1997.12.23〜1998.4.28> これは冥王代にできた最古の岩石を展示した時のキャッチコピーです。よいアイデアが浮かばず悩んでいたとき、元国立科学博物館の加藤昭先生が、「温故知新」にちなんでヒントをくれたものです。 第18回 <名前の由来はチリにアンデス 2001.8.10〜2001.11.30> これはチリおよびアルゼンチンの安山岩を展示したものです。安山岩の名前の由来が南米のアンデス山脈にあるため、このキャッチコピーになりました。 第21回 <3Dプロジェクト 2002.8.20〜2003.2.21> キャッチコピーだけだとなんのことだかわかりませんが、展示を見ればわかります。標本の形を数値化して、立体的に表現しました。その手法とCGを展示したものです。 第24回 <箱根火山合衆国 2004.3.12〜2004.8.12> 箱根火山はもともと2,700mくらいの巨大な成層火山で、巨大噴火によりカルデラを形成したことにより現在の古期外輪山ができたという説が1950年頃から主流になってきました。しかし、最近は、1つの成層火山ではなく、いくつかの成層火山の寄せ集めであった可能性が示唆されています。 箱根火山の外輪山より集めた見かけが異なる安山岩を展示したために、このようなキャッチコピーになりました。

5. 最新情報

現在、第26回の展示替えを計画しています。おそらく本号が発行される前には新しい展示に変わっているはずです。第26回のタイトルは、箱根火山のテフラです。地学ボランティアの協力で、1年をかけて大磯丘陵をはじめ、神奈川県内より箱根起源の火山灰の大部分を集めました。火山灰の入ったビンを並べてみると、色や粒の大きさ、構成する鉱物の種類が様々で、色合いがたいへんきれいです。 箱根火山の生い立ちを知る上でも重要な展示です。是非ご覧になってください。ちなみにキャッチコピーは思案中です。

[目次へ]


© Copyright Kanagawa Prefectural Museum of Natural History 2005. All rights reserved.

[ページ先頭へ]