神奈川県立生命の星・地球博物館

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1999年3月30日発行 年4回発行 第5巻 第1号 通巻16号 ISSN 1341-545X


自然科学のとびら


Vol.5, No.1  神奈川県立生命の星・地球博物館  Mar.,1999


ライブラリー通信 桜

内田 潔(当館司書)

今年の春も桜は律義に咲き、人々は花見をせんとてこぞって名所へ繰り出し、桜の美を賞でつつ、呑みあるいは放歌する間に慌ただしくも花は散りゆく。毎年桜の季節になると、日本中が何やら浮き足立って落ち着かなくなるほどです。私たち日本人はなぜこれほどまでに桜が好きなのでしょうか。

桜はもともと日本に自生していたものが次第に自然交配や栽培化されて品種が増え、ことに江戸時代後期に至って盛んに園芸品種化されるようになりました。現在、自生種・園芸種合わせて300種前後の品種があるといわれています。私たちが公園や校庭でよく見かける桜の大半はソメイヨシノですが、この桜は江戸幕末期に染井村(現在の豊島区駒込)で「吉野桜」として売りに出されたことに由来するというのが通説になっていて、明治33年になって藤野寄命が「日本園芸雑誌」においてソメイヨシノと命名したものがそのまま和名となったとされています。その後このソメイヨシノはエドヒガンとオオシマザクラという桜の交配種であったことが明らかにされました。桜の歴史から見れば現在幅を利かせているソメイヨシノは桜の仲間内では新顔ということになります。

ソメイヨシノが出現するまではヤマザクラが主役でした。その昔、太閤秀吉が権勢の頂点にあった時京都の醍醐にて家康を招待して催した花見で彼等が見た桜はヤマザクラであったことでしょう。近年、東京都が復活させる計画が進行している玉川上水堤の小金井桜もこのヤマザクラです。

今回は桜に関する図書をご紹介します。植物学的な図書だけではなく日本人と桜との関わりという視点から集めてみました。

<参考文献> 『さくら百科事典』(婦人画報社)、『日本の桜』(山と渓谷社)、『桜誌』(原書房)、『桜伝奇』(工作舎)、『桜』(中央公論社)、『櫻史』(講談社学術文庫)、『桜と日本人』(新潮社)、『江戸の花見』(築地書館)


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