神奈川県立生命の星・地球博物館

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1999年6月15日発行 年4回発行 第5巻 第2号 通巻17号 ISSN 1341-545X


自然科学のとびら


Vol.5, No.2  神奈川県立生命の星・地球博物館  June,1999


ヘリコーマ属(カビ)の一種―ミクロの世界のアンモナイト?―

出川洋介(学芸員)

Helicoma sp.の胞子
長径は約0.02mm(位相差顕微鏡写真)
1999年2月21日、小田原市入生田、長興山紹太寺界隈で採集

朽木表面に生えていた茶色いカビの胞子です。カビと聞いた途端に悪者!と決めつけないで下さいね。多くのカビは自然界では分解者として重要な役割を果たしており、中には私たちの生活に有益なものもいるのです。顕微鏡に向かっていると、このようにユーモラスな姿に出会うことがよくあります。 「アンモナイトのようだ」とは古生物担当学芸員の感想です。学名ヘリコーマは、らせんや渦巻きを意味する言葉に由来します。独特な渦巻き型の胞子を形成するカビには世界で約40属170種が知られていますが、その多くは渓流沿いの朽木などに生育し、一説には水環境に適応しているのではないかと考えられています。このカビは、いったいどこでどのような生活を送っているのでしょう?ミクロの世界は未だたくさんの謎に包まれており、彼らから学ぶべきことはたくさんあります。


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