神奈川県立生命の星・地球博物館

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1999年8月15日発行 年4回発行 第5巻 第3号 通巻18号 ISSN 1341-545X


自然科学のとびら


Vol.5, No.3  神奈川県立生命の星・地球博物館  Aug.,1999


ゴホンツノカブトムシ Eupatorus gracilicornis Arrow

苅部治紀(学芸員)

ゴホンツノカブトムシ

ベトナム北部カオバン、ピアオアック山
Mt. Piaoac, Cao Bang Prov., N. Vietnam
苅部治紀撮影

「カブトムシ」と聞いて、日本人が思い浮かべるのはクヌギなどの樹液に集まる姿だと思うのですが、世の中には思いもよらない生態をもつ種類もいます。写真の種類はゴホンツノカブトムシといって、名前のとおり頭や胸から立派な5本の角がでているカッコのよい種類です。このカブトムシのエサは一風変わっており、なんと竹の仲間の若芽に集まります。

ベトナム北部の調査時です。林道を歩いていると、脇にはえている竹の若芽に大きなクリーム色の甲虫が逆さに止まっているのが目にとまりました。近寄ってみると本種です。話には聞いていましたが、実際に見てみるとなんとも異様な感じがしました。竹は先端近くでしごかれたように繊維がほどけており(おそらく前足のトゲで傷つけたものだと思われます)、そこで樹液を吸っていました。

タイなどでの本種の観察によると、成長した竹はエサとならないので、うまく竹の成長サイクルにあわせた生活を送っており、それぞれの地方での竹の若芽の出る時期に出現するようです。


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