神奈川県立生命の星・地球博物館

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2001年3月15日発行 年4回発行 第7巻 第1号 通巻24号 ISSN 1341-545X


自然科学のとびら


Vol.7, No.1  神奈川県立生命の星・地球博物館  Mar.,2001


資料紹介 グリーンランドの岩石

山下浩之(学芸員)

堆積岩(garnet bearing conglomerate)

堆積岩の露頭堆積岩の偏光顕微鏡写真
堆積岩の露頭と偏光顕微鏡写真(クロスニコル)

グリーンランドのイスア地域で見つかる堆積岩は約38億年前のものです。地球で一番古い、最古の堆積岩です。堆積岩とは、大地を造っている石が川の流れにけずられて、海に流れこんでたまったものが、固まったものです。最古の堆積岩は、38億年前にすでに、固い石からできた大地があり、雨が降り、川が大地をけずり、海で土砂がたまったことを物語っています。

枕状溶岩(basalt (pillow lava))

枕状溶岩の露頭枕状溶岩の偏光顕微鏡写真
枕状溶岩の露頭と偏光顕微鏡写真(オープンニコル)

玄武岩のマグマが、海の中で流れだすと、固まるときに枕が積み重なった形の溶岩になります。このような形の溶岩を枕状溶岩といいます。現在のすべての海の底は、中央海嶺でふき出した玄武岩マグマの枕状溶岩からできています。このような中央海嶺の営みは、プレートテクトニクスで説明されています。グリーンランドの枕状溶岩は、38億年前にプレートテクトニクスが営まれていた証拠なのです。

超塩基性岩(ultramafic rock)

超塩基性岩の露頭超塩基性岩の顕微鏡写真
超塩基性岩の露頭と偏光顕微鏡写真(クロスニコル)

超塩基性岩は、かんらん石と輝石からできている、比重の大きい岩石です。超塩基性岩は、一番最初にマグマからできる結晶がマグマの中で沈んでできた岩石です。グリーンランドに枕状溶岩や超塩基性岩があるということは、38億年前に現在と同じような海嶺の営み、プレートテクトニクスがあったことを物語っています。

縞状鉄鉱層(banded iron formation)

縞状鉄鉱層の露頭縞状鉄鉱層の偏光顕微鏡写真
縞状鉄鉱層の露頭と偏光顕微鏡写真(クロスニコル)

しましまの模様は、鉄さび(酸化鉄)と石英のくり返しでできています。縞状鉄鉱層は、20億年前ころのものがたくさん見つかっていますが、グリーンランドの縞状鉄鉱層は38億年前にできた、地球最古のものです。20億年前の縞状鉄鉱層は生物が出した酸素によって、鉄が酸化してできました。しかし、38億年前の地球にはまだ酸素を出す生物は誕生していなかったので、海の中でおこった化学反応によって、鉄が酸化したと考えられています。


グリーンランドの表面は、何万年も前にふった雪が、後から降った雪によって長い年月をかけて圧し固められた氷でできています。しかし、氷の下には、できたばかり地球の歴史を記録している石があります。

グリーンランドの大部分は、原生代(25億〜6億年前)の岩石や地層からできています。南部は太古代(38億〜25億年前)の岩石や地層からできています。東部には造山帯(カレドニア造山帯)があります。太古代の地質のうち、イスア地域から、地球最古の岩石類がみつかっています。イスア地域は、大陸の氷床の縁に顔を出している地層です。人跡未踏のようなこの地に、毎夏、調査をするため多くの地質学者がイスアに集まり、テント村ができます。当館の小出・平田両学芸員は、2000年7月にイスアに地質調査に出かけました。上に紹介した写真と石はその調査によるものです。なお、この石は現在ジャンボブックのトピックスのコーナーに展示してあります。この機会にぜひご覧ください。


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