神奈川県立生命の星・地球博物館

[戻る]

2001年9月15日発行 年4回発行 第7巻 第3号 通巻26号 ISSN 1341-545X


自然科学のとびら


Vol.7, No.3  神奈川県立生命の星・地球博物館  Sept.,2001


桂林、景勝なり

小出良幸(学芸員)
漓江から見る桂林の石灰岩地形
桂林市街地も石灰岩地形の中

中華人民共和国広西壮族自治区桂林

写真大:漓江(りこう)から見る桂林の石灰岩地形
写真小:桂林市街地も石灰岩地形の中

 中華人民共和国広西壮族自治区、桂林。世界遺産そして世界的観光地。山水画の世界そのままの景色。生命と海と大気と地球の営みがつくり上げた景色。桂林の奇岩は、石灰岩と呼ばれる岩石。石灰岩をつくる鉱物は方解石。方解石の主成分は、炭酸カルシウム(CaCO3)。礁をつくるサンゴや層孔虫の殻が集まってできたもの。カルシウムは海の中の成分。炭酸は大気の二酸化炭素(CO2)が海に溶けたもの。海中にある石灰岩は、やがて溶けてカルシウムと炭酸に。プレートテクトニクスという地球の気ままな営みよって石灰岩が陸に。陸の石灰岩は永く残る。悠久の時間と雨と川が、石灰岩を溶かし、削る。溶け残り、削り残ったものが、山水画の世界。通り過ぎる人々は、ただただ圧倒され、感動するのみ。そこに住まう人は、過去と現在を棲み分ける。観光船の波に飲まれそうになりながら営む、農業、漁業、酪農。逞しき富を追う人は、奇岩の間のビルの中。「悠久の地球の時間」という芸術家が、今もここには棲む。景勝なり、桂林。


[戻る]

[地球博トップページへ]