神奈川県立生命の星・地球博物館

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2002年6月15日発行 年4回発行 第8巻 第2号 通巻29号 ISSN 1341-545X


自然科学のとびら


Vol.8, No.2  神奈川県立生命の星・地球博物館  Jun.,2002


特別展「人と大地と―Wonderful Earth―」開催にあたって

平田大二(学芸員)

地球は、46億年という途方もなく永い歳月をかけて、大地をつくりあげてきました、大地をつくる岩石は、この長い時間とさまざまな大地の営みを経て、今見られる景観や形態となりました。

人は、地球上にその姿を現して以来、大地の景観に感動や畏怖、脅威を覚え、またその形態に神秘さ、不思議さ、奇異さを感じてきました。

今回の特別展では、人が大地をどのように見て、どのように感じ、どのように表現してきたかを、さまざまな視点、切り口でみていきます。

地球と生命がつくりあげた大地をみる

広大な宇宙の中の片すみの銀河のさらに片すみで、太陽系が誕生しました。地球はいん石、微惑星が集積、衝突合体を繰り返すことで誕生しました。地球は、固い岩石の部分だけでなく、海や大気もつくりあげてきました。やがて、生命が誕生し、そして生命自身が地球の環境を変えてきたのです。

大地をつくる岩石や地層の中には、46億年にわたる地球の歴史が記録されています。この大地の生い立ちとつくりについて、大地をつくる様々な年代と種類の岩石から考えてみましょう。


図1 太古の記録が刻まれたグリーンランドの地層

大地を観る方法を考える

地球科学と呼ばれる研究分野では、大地の成り立ちと歴史を、46億年前から現在、未来まで考える時間軸と、極微小の原子から無限大の宇宙までという空間軸にもとづいて観ています。

「観る」ためには、道具が必要です。野外や室内でみるための様々な道具があります。道具は科学技術の進歩にともなって進化します。これまで見えなかったものが見えてくる、ということもでてきました。一方、人が本来もっている五感も、大切な道具です。視点を変えれば、見えるものも、見え方も変わってきます。新しい観点は、新しい世界を開く可能性をもっています。これまでの観点とは違う、新しい観点も考えてみましょう。

自然の中に芸術をみる

大地はときおり、すばらしい景観や形を作り出します。鉱物や生物の色や形、模様も大変面白いものがあり、不思議なものがいっぱいです。直線、曲線、らせん形、そして一見奇妙な形に思えますが、じつはある規則に従っていることもあります。自然の中で、ある物理化学的な条件のもとに偶然にできたものです。人は、それらを自然の中の芸術としてとらえることがあります。幾何学模様や、奇妙な形に、心が躍らされた経験のある方もいることでしょう。自然の中の芸術を楽しんでみてください。


図2 水晶:ハーキマー・ダイヤモンド

人と大地との関わりをみる

人は昔から大地の恵みをうけてきました。大地は、生活に必要な資源をもたらしてきました。金・銀・銅等の金属資源や、石炭・石油など燃料資源もあれば、ダイヤモンドやエメラルドのような宝石類もあります。(表紙写真をみてください

人は、大地が作り出したものを活用して、様々な道具やものを作り出し、人の歴史を変えてきました。その人と大地の関わりをみてみましょう。

芸術になった大地をみる

自然の大地の中から素材を選び出し、芸術作品を作る人もいます。太古の昔から土器や彫刻、絵画などの作品がつくられてきました。自然と芸術は、人の脳を介してつながっています。大地の素材を使った芸術を鑑賞してみてください。


図3 いん石の粉をまぜたガラス工芸作品

地球の寺子屋

今回の特別展は、当博物館の総合研究「博物館における新しい地学教育」の成果を公開するものです。この総合研究は、大地の素晴らしさを、より多くの人に、よりわかりやすく伝えるための方法を模索しようとするものです。この総合研究は「いつでも、どこでも、だれでも、いくらでも」をキャッチフレーズにして、これまでにない新しい視点をもつこと、新しい方法論をみつけること、新しい道具を使うこと、新しい体系をつくることを目標として取り組んできました。

地球の寺子屋では、総合研究の歩みや研究成果の紹介、コンピュータを活用したCD-ROM、ホームページなども紹介する予定です。試験的連続講座として開催した「地球を調べる大実験」シリーズの内容も紹介します。さらに、関連行事として、ワークショップ「ワンダフル・アース―地球を楽しむ大実験―」や、シンポジウム「博物館における新しい地学教育を考える」を開催します。

どうぞ、この一風変わった、これまでにない特別展示をのぞきにきてください。きっと、大地への好奇心がかきたてられるに違いないでしょう。


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