神奈川県立生命の星・地球博物館

[戻る]

2002年9月15日発行 年4回発行 第8巻 第3号 通巻30号 ISSN 1341-545X


自然科学のとびら


Vol.8, No.3  神奈川県立生命の星・地球博物館  Sept.,2002


「夢虫」オオトラカミキリ

Xylotrechus villioni(Villard)
(体長21―27mm程度)

北海道網走支庁丸瀬布町上武利
2002年7月24日
高桑正敏撮影

高桑正敏(学芸員)

オオトラカミキリ

昆虫採集を趣味としている人は、だれもが夢虫を心に描いていることでしょう。「いつか、この手で採集してみたい!」という憧れの虫です。カミキリムシに興味をもった私にとっての夢虫がオオトラカミキリでした。以来36年もの間、夢虫であり続けたのです。

本種は日本と東シベリアに分布すする世界最大のトラカミキリです。幼虫はモミ属植物の幹内部に穿入する害虫ですが、成虫に野外で出会うことはきわめて稀なうえに、そのスズメバチ擬態のカッコよさも加わって、愛好者間では「珍虫の中の珍虫」として有名です。

そのオオトラカミキリが私のすぐ目の前に静止していたのです。それも北海道旅行の最後の日の午後、しかも雨の中でした。すぐ手が出なかったのは、一瞬、頭の中が真っ白となってしまったおかげかも。大声で友人たちを呼び、持っていた傘を預け、見張りを頼み、車に戻って大あわてでカメラをセットしてから撮影したのが上の写真です。

もし逃げられてしまったら? もちろん自分がオオトラ(大虎)になるしかないでしょう。


[戻る]

[地球博トップページへ]