神奈川県立生命の星・地球博物館

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2003年3月15日発行 年4回発行 第9巻 第1号 通巻32号 ISSN 1341-545X


自然科学のとびら


Vol.9, No.1  神奈川県立生命の星・地球博物館  Mar., 2003


資料紹介山水の世界に自然の不思議さを楽しむ―水石―

平田大二(学芸員)

日本列島の各地を流れる川は、急流となって山を下り、海に注いでいます。この川の流れにより、たくさんの岩石が山から押し出され、削られ磨かれて「礫(れき)」となって、川原や海岸にたまります。これらの「礫」には、いろいろな形や模様、きれいな色やつやをしたものがあります。このような「礫」に、日本の四季を通じた風光明媚(ふうこうめいび)な自然の美を連想して、心を山水風物詩の世界に遊ばせるのが「水石(すいせき)」の世界です。水石とは「山水石(さんすいせき)」がつまってできた言葉ともいわれています。明治の中ごろから、盆栽家や文人の間に趣味としておこり発展してきたもので、自然を尊び、風景美を連想するとともに、「わび」「さび」の境地をも楽しむものです。ですから、名前も岩石名とは別に、その石の特徴やとれた場所を表した独特な名がつけられています。

また、珍石と呼ばれるものもあります。こちらは、岩石の性質や成因の珍しさを楽しむものです。江戸時代の岩石鉱物収集家である木内石亭(きのうちせきてい)が「雲根志(うんこんし)」に日本中の珍しい石を紹介したことからはじまりました。

石や岩石というと硬い話ばかりを連想するかも知れませんが、このように美の世界、心の世界を楽しむこともできます。川原や海岸の石を眺めて、山水の世界を楽しんでみませんか。

なお、写真に紹介した標本は、2001年度に荒井保氏(横浜市在住)よりご寄贈頂いた水石コレクションの一部です。

菊花石
菊花石(きっかせき)
東京都青梅市多摩川産:凝灰岩の中の割れ目に結晶化した方解石が、菊の花のように見える。
越前紋石
越前紋石(えちぜんもんせき) 福井県産:流紋岩のなかにできた、直径2,3cm以下の球状体の模様が特徴的なもの。針状の長石の結晶が放射状に集合してができたもので、珪長質のガラス質の火山岩にみられる。
丹波赤石
丹波赤石(たんばあかいし) 京都府亀岡産:石灰質の頁岩で、つやのあるもの。
佐渡碧玉
佐渡碧玉(さどへきぎょく) 新潟県佐渡畑野町猿八産:火山活動による熱水の影響で、石英中に銅成分がとけこんでできた石英の微小結晶の集合体。鉄分が含まれ赤いものは赤玉とよばれている。
ニービ石
ニービ石 沖縄県読谷村産: 粘土の中の石英、長石、雲母などが集合してできる奇妙な形をしたもの。ひょうたん石ともよばれる。
九頭竜川紋石
九頭竜川紋石(くずりゅうがわもんせき) 福井県九頭竜川産:流紋岩のなかにできた酸化物の模様が、花びらのように見えるもの。
ナポレオン石
ナポレオン石 福井県産:花こう岩質 のマグマの中に取り込まれた岩石が核となり、それを中心にして輝石や角閃石など有色鉱物が層状に結晶化し、同心円状の構造をつくったもの。球状花こう岩とよばれる。
梅花石
梅花石(ばいかせき) 福岡県北九州市門司青浜産:凝灰岩のなかに含まれたウミユリの化石が梅の花のように見えるもの。

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