神奈川県立生命の星・地球博物館

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2003年6月15日発行 年4回発行 第9巻 第2号 通巻33号 ISSN 1341-545X


自然科学のとびら


Vol.9, No.2  神奈川県立生命の星・地球博物館  June, 2003


サラサヤンマ

サラサヤンマ

Sarasaeschna pryeri (Martin)

撮影地:神奈川県厚木市中荻野

2002年6月2日 苅部治紀 撮影

苅部治紀 (学芸員)

梅雨前の蒸し暑い晴れ間に出現する小型のヤンマです。出現時期や分布地が限られることと、ヤンマの中では変わった生態をしていることから、トンボの専門家以外の方は、あまり出会ったことがないでしょう。

5月下旬から6月中旬ころに、ハンノキが侵入するくらいに年数を経た谷戸の放棄水田を訪れてみると、樹林下の暗い湿地で、長時間のホバリングを交えてなわばり飛翔をしている本種を見ることがあります。県内では数カ所しか産地のない希少種です。大きさは5センチほどと、日本産ではもっとも小型のヤンマのひとつであり、黒色の体に美しい黄緑色の斑紋をちりばめています。

サラサヤンマの仲間は、世界のヤンマの中でももっとも原始的とされる一群に入ります。幼虫の発見も困難な種類でしたが、薄暗い湿地で落ち葉をめくると水がたまっているのがわかるような、ごく浅い水たまりに生息していることが確認されました。


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