神奈川県立生命の星・地球博物館

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2003年6月15日発行 年4回発行 第9巻 第2号 通巻33号 ISSN 1341-545X


自然科学のとびら


Vol.9, No.2  神奈川県立生命の星・地球博物館  June, 2003


ライブラリー通信 レッドデータブック

篠崎淑子(司書)

自然科学のとびら第3巻第4号(1997年11月15日発行)のライブラリー通信で、司書の土屋氏が「レッドデータブックにさよならを!」という題で、地域別、分野別のレッドデータブックを紹介しましたが、あれから6年、レッドデータブックは絶滅どころか、ますます増えているようです。土屋氏が紹介した『近畿地方の保護上重要な植物』は2001年には改訂版(平岡環境科学研究所)が出版され、『日本の地形レッドデータブック』も2002年に第2集(古今書院)が出版されました。環境庁は1991年に『日本の絶滅のおそれのある野生生物−脊椎動物』『同−無脊椎動物』をまとめましたが、その後動植物の分類群ごとに見直しが始まり、2000年から『改訂・日本の絶滅のおそれのある野生生物』として、爬虫類・両生類、植物I、植物II、哺乳類、鳥類、汽水・淡水魚類が出版されています。

各県でもレッドデータブック作りは盛んに行われています。ライブラリーでもこの6年間に千葉県、広島県、沖縄県、島根県、和歌山、高知県、松山市、山口県、秋田県、富山県、鳥取県、京都府、愛媛県、鹿児島県のレッドデータブックを受け入れました。各県別のレッドデータブックが増えてきた背景には、環境庁のレッドデータブックにおける種の選定が全国レベルで行われているために、都道府県などの地域の実情とは必ずしも一致しない例が見られ、そのために各県がレッドデータブック作成の必要性に迫られたという事情がありそうです。これらのレッドデータブックは野生生物の保護対策を講じるための基礎資料とすることを目的に作成されているようですが、それならそのデータが科学的にみて正しいものでなくてはいけない、と論ずる図書も出てきました。『近畿地区・鳥類レッドデータブック―絶滅危惧種判定システムの開発』(京都大学学術出版会)ではこの図書の特徴として、結論がおかしいと感じたら結論を導き出した根拠に立ち返ることができる、鳥類は移動力が極めて大きく、都道府県単位ではそのステータスをとらえきれない面をもっているので近畿という中間的な広がりで考えようとした、という2点を挙げています。

このようにさまざまなレッドデータブックが刊行されていますが、開発と保護という問題にどう折り合いをつけていくのか、本当に大変なのはこれからのような気がします。


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