神奈川県立生命の星・地球博物館

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2003年12月15日発行 年4回発行 第9巻 第4号 通巻35号 ISSN 1341-545X

自然科学のとびら

Vol.9, No.4  神奈川県立生命の星・地球博物館  Dec, 2003


資料紹介 サンタナ層の化石

大島光春(学芸員)
サンタナ層の位置
図1 サンタナ層の位置.

メッセル、ホワイトリバー、トゥーメディシン、モリソン…全部ご存じの方は化石マニアですね。実は当館で展示または収蔵している化石標本の世界的に有名な産地(または地層)です。ここではそのような有名な化石産地の一つであるサンタナ層を紹介します。

サンタナ(累)層はブラジル北東部に分布する、白亜紀の中ごろ(白亜紀前期末:約1億1000万年前)の地層です(図1)。この時代の化石は世界的にも少ないため、保存の良い化石を多く産出するサンタナ層は、この時代の生物の情報を得るためには大変貴重なものです。

保存の良い化石を産出する地層は、主に石灰質砂岩からなる、海の底に堆積した地層です。化石は石灰質団塊(コンクリーション)の中から産出します。まさに、タイムカプセルの中から取り出すような感覚です。

魚類化石(図2)

サンタナ層からは、大型のシーラカンス類アクセロディクチスを含む14科21属(1991年時点)が発見されています。魚の化石は潰れて平らになった骨だけというのが普通ですが、サンタナ層の化石は体が膨らんでいて鱗が残っており,さらには,筋肉の印象まで残っているものがあります。

化石の保存状態の良し悪しは、第一に魚が死んでから遺骸が埋没されるまでの状態によって、第二に遺骸を含む堆積物が石になるまでの状態によってきまります。サンタナ層の場合はどのようであったか、想像してみてください。

サンタナ層産の魚類化石
図2 サンタナ層産の魚類化石. Axelrodictys araripensis. 全長約 112 cm. 2002年

翼竜化石(図3)

魚類化石を良く保存したサンタナ層の石灰質団塊(コンクリーション)は、薄くてもろい翼竜の化石を保存するのにも条件が良かったのです。

サンタナ層の翼竜はPrice (1971) によってアラリペサウルス(アラリペのトカゲ)が記載されて以来、アラリペダクティルス(アラリペの指)、サンタナダクティルス(サンタナの指)など、たくさんの種類が報告されています。

当館では歯がない種類のトゥプクスアラ(原住民の精霊の名)の実物と、歯がある種類のアンハングエラ(年老いた悪魔)の複製を所蔵しています。

サンタナ層産の翼竜化石
図3 サンタナ層産の翼竜化石. Tupuxuara sp. 翼開長約 4m.

昆虫(図4)

da Costa Rima (1950) が2種類のカゲロウを記載して以来,少なくとも15目(すべて今も生きている)の昆虫がいたことが明らかになっています。

昆虫の化石は魚類化石のように石灰質団塊(コンクリーション)からではなく、層状に堆積した石灰岩の中から見つかります。化石を覆っている岩石を物理的に取り除いたあと、薄い酢酸を使って石灰岩を溶かしながらクリーニングします。この方法で触覚や脚など細かい部分もきれいに取り出すことができます。

サンタナ層産の昆虫化石
図4 サンタナ層産の昆虫化石.

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