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学芸員の瀬能が日本在来の“コイ”に関する共著論文を発表しました

2016年11月30日更新

2005年に琵琶湖北部の沖合で漁獲された体形の細長いコイから日本固有の遺伝子(ミトコンドリアDNAのハプロタイプ)が発見されて以来、日本には体高が低い在来のコイと、体高が高く海外から導入されたコイの2種類がいる可能性が示唆されていました。しかしながら、体高の違いによって在来か外来かを判断してよいのかについては謎のままでした。

 このたび、交雑の有無や程度を判定できる核遺伝子(SNP:一塩基多型)を用いて在来の程度を判定し、形態との相関を調べたところ、外見的に区別される体高の低いコイが在来、体高の高いコイが外来であることを証明することができました。

 この研究は東京大学大気海洋研究所の分子海洋生物学分野の渥美圭佑氏(当時;現在は北海道大学大学院環境科学院)をはじめとする研究グループ(ソン ハヨン博士、井上広滋教授、馬渕浩司博士)と、当館学芸員の瀬能との共同で進められていたもので、国際学術誌である「Journal of Fish Biology」のEarly View(論文を巻号やページが決定されていない段階で電子版として速報的に公開するサイト)に11月16日付けで公表されました。

 本研究により、核遺伝子によって判定された在来のコイは、外来のコイに比べて体高が低いだけでなく、背鰭の分枝軟条数が多い、鰓耙は短く、数が少ない、鰾(浮き袋)と消化管を接続する気道は、入り口の弁が太く発達し、コイル状に巻く回数が多い、鰾の後室が長い、消化管が短いといった傾向を示すことが分かりました。

 この研究成果により、日本在来のコイがどのように適応分化してきたのか、また分類学的にどのように取り扱うべきなのかといった研究が大いに前進することが期待されます。

 

写真1 在来と判定されたコイ KPM-NI 26244 琵琶湖産 瀬能 宏撮影

写真2 外来と判定されたコイ KPM-NI 16035 琵琶湖産 瀬能 宏撮影

 

※KPM-NIは当館の魚類標本の資料番号であることを示す記号です。

 

論文情報

Atsumi, K., H. Y. Song, H. Senou, K. Inoue and K. Mabuchi. 2016 (November 16). Morphological features of an endangered Japanese strain of Cyprinus carpio: reconstruction based on seven SNP markers. Doi: 10.1111/jfb.13213
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jfb.13213/abstract外部リンクアイコン[外部リンク]