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学芸員の加藤らが進めてきた特定外来生物カナダガンの防除活動が日本自然保護大賞を受賞しました

2017年1月11日更新

学芸員の加藤が個別研究「外来種カナダガンの移動実態と繁殖生態に関する研究」により、保護団体等とすすめてきた特定外来生物カナダガンの防除活動が、公益財団法人日本自然保護協会外部リンク[外部リンク]による平成28年度日本自然保護大賞(保護実践部門)に選ばれました。

この賞は日本各地で行われている自然保護と生物多様性保全に貢献する取り組みに対して授与されるものです。そのうち「保護実践部門」は具体的な自然保護の実績をあげた活動、研究をした個人・団体を対象とするもので、「日本における大型亜種カナダガンの国内根絶の達成へ向けた活動」(カナダガン調査グループ(神奈川県))が124件の候補の中から選出されました。

 

防除を進めてきたカナダガンは北米大陸に広く分布する大型のガン類で、日本には観賞や展示を目的として輸入されたと考えられています。1985年に初めて静岡県富士宮市で2羽が観察されて以降、徐々に生息数が増え、2010年には静岡県田貫湖や山梨県河口湖、神奈川県丹沢湖で繁殖が確認され、その数は約100羽に達しました。

 

生息数増加に伴う生態系への影響を懸念したため、かながわ野生動物サポートネットワークや日本野鳥の会神奈川支部、地域自然財産研究所等と共に「カナダガン調査グループ」(代表:葉山 久世)を結成し、2010年から標識個体の追跡調査による動態把握を行うと共に、生体捕獲や擬卵交換により各地で防除をすすめました。このなかで、加藤は主にカナダガンへの標識装着と追跡調査を担当し、その成果を学会や報告書、シンポジウム等で発表しました。また、防除作業により得られた11個体、50卵を標本として収蔵しました。

2015年12月4日には、環境省や地元自治体の協力を得て茨城県牛久沼で最後の2羽(交雑1羽を含む)を捕獲し、飼育施設に収容しました。これにより、人為的に日本に持ち込まれて野外に定着したカナダガンについて、その時点までに確認されていた全ての個体の防除が完了しました。(自然科学のとびら22巻2号p.12-13 参照)

 

外来生物対策は、定着初期の段階での発見と防除が極めて重要だとされています。被害が顕在化する前に対応する方が、 顕在化してからの対応に比べて根絶は容易であり、生態系等に与える影響も少なくて済みます。今回のカナダガンの対策事例は、早期発見・早期防除・ 被害拡大防止を研究者と保護団体とが連携して実現した事例であり、特定外来生物の国内初の根絶事例とされています(環境省発表, 2015)。その経緯と成果が今回の受賞につながったと考えます。

 

授賞式は2月19日(日曜)に行われ、続いて行われるシンポジウムでは今までの取り組みを口頭発表する予定です。

 

カナダガンの親子

写真1. 静岡県田貫湖で確認したカナダガン成鳥(メス)とヒナ2羽.
成鳥には追跡調査用の標識を装着した.
2012年5月23日 加藤ゆき撮影
 

捕獲したカナダガン

写真2.茨城県牛久沼で捕獲した最後の個体.
右の個体はカナダガン成鳥(オス)、左の個体はカナダガンとガチョウの交雑個体.
2015年12月4日 加藤ゆき撮影