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学芸員の瀬能による死滅回遊魚についてのコメントが新聞に掲載されました

2020年1月28日更新

学芸員の瀬能による死滅回遊魚についてのコメントが、1月19日付け「東奥日報」や1月23日付け「静岡新聞」など複数の新聞に掲載されました。この記事は共同通信社から1月14日付けで配信されたものです。

相模湾を含む伊豆半島の沿岸では、毎年秋から初冬にかけて多くの熱帯・亜熱帯性魚類の幼魚が出現します。これらの多くは卵や遊泳能力が小さい仔稚魚の時に黒潮によって運ばれてくると考えられており、水温が高い時期に流れ着いたものはある程度成長しますが、冬になって水温が低下すると生き延びることができずに姿を消すため、「死滅回遊魚」と呼ばれています。「死滅」という言葉を避けるために「季節来遊魚」と言い換えられることがありますが、専門用語ではないので注意が必要です。

今回の記事は、冬場の水温が近年の傾向として熱帯・亜熱帯性魚類の低温致死限界である15度を下回ることがなく、これまで記録されなかった種が続々と出現していることを報じたものです。2019年の春には伊豆半島の伊豆海洋公園では越冬したと考えられる“死滅回遊魚”が多数確認されており(写真)、魚類相の激変を予感させる状況と言ってもよいでしょう。学芸員の瀬能は魚類写真資料データベース外部リンクを利用した本州の太平洋岸から琉球列島、そして伊豆-小笠原諸島に及ぶ広範な魚類相の調査から、死滅回遊魚の生まれ故郷が奄美や沖縄ではなく、屋久島や四国、紀伊半島あたりにあると推測されることをコメントしました。水温が上昇しただけなら高水温期に出現する種の数や個体数に大きな変化はないと考えられるからです。これまで死滅回遊魚は琉球列島以南から黒潮によってはるばる運ばれてくるとされてきましたが、いろいろな魚の分布域が北上し、屋久島以北の地域でも産卵する魚が増えたことで結果的に出現する種や数が増えていると考えられるのです。この仮説を証明するためには、ルーツと目される地域での産卵状況、卵や仔魚、稚魚の浮遊期間、黒潮からの離脱機構の解明を進める必要があるでしょう。

    

相模湾で越冬したと思われるコガネキュウセン(KPM-NR 206210)

 

サビウツボ(KPM-NR 206211)

いずれも伊豆海洋公園 2019年5月7日 鈴木美智代氏撮影

 

KPM-NRは当館所蔵の魚類画像資料であることを示す記号です。

 

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