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学芸員の渡辺が新種のハチを発表しました

2020年5月5日更新

学芸員の渡辺は日本産のウスマルヒメバチ族の寄生蜂について分類学的研究を行いました。その成果が、日本昆虫分類学会の英文誌「Japanese Journal of Systematic Entomology, Supplementary Series」に掲載されました。論文の概要は次の通りです。

【論文の概要】

本論文で扱ったウスマルヒメバチ族は、比較的大型のハチで、美しい体色をもつ種が多く、各地で良く採集される寄生蜂です。また、草地環境に生息する種も多く、畑地の害虫(特にヨトウムシ)の天敵となる種や、草地の減少に伴い減少が報告されている種も含まれています。

日本産の本族は1931年に包括的な研究がされて以降、断片的な知見の追加はあったものの、依然として分類学的な問題が残されており、再検討が必要な状況でした。論文では、日本産のウスマルヒメバチ族を3属19種に整理し、2種の新種を新たに記載、命名しています。また、日本新産種や多数の異名、分布の新知見を報告しています。新種の概要は次の通りです。

 

ニシキウスマルヒメバチExetastes albimarginalis Watanabe, 2020(図1)

 

標準和名は美麗な体色から、種小名は腹部の各節後方が縁に沿って白い帯を有することにちなみます。当館にはホロタイプと複数のパラタイプが収蔵されます。本種は神奈川県からは未発見ですが、山梨県や群馬県で得られていることから、今後県内から発見される可能性があります。

 

ヨコジワウスマルヒメバチExetastes transstriatus Watanabe, 2020(図2)

 

標準和名と種小名はいずれも腹部背板に横皺を有することにちなみます。当館にはホロタイプと複数のパラタイプが収蔵されています。本種は神奈川県を含む本州各地で普通に見られるヒメバチで、特に5月から6月にかけて里山的環境でよく見られます。論文には、タイプ産地である相模原市緑区陣馬山のほか、横浜市都筑区荏田南、横須賀市津久井、同市武山、厚木市中荻野、同市船子、秦野市と伊勢原市にまたがる弘法山で得られた県内産標本が使用されています。

本族が含まれるウスマルヒメバチ亜科には、3族が知られており、以前渡辺によってまとめられたハマキヒメバチ族Glyptiniに続き、これで2族が分類学的に整理されました。

 

図1. ニシキウスマルヒメバチExetastes albimarginalis Watanabe, 2020のホロタイプ

 

図2. ヨコジワウスマルヒメバチExetastes transstriatus Watanabe, 2020のパラタイプ

論文詳細

Watanabe, K., 2020. Taxonomic study of the tribe Banchini (Hymenoptera: Ichneumonidae: Banchinae) from Japan.

Japanese Journal of Systematic Entomology, Supplementary Series, (2): 1-58.