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スタッフ紹介
佐藤武宏 (SATO, Takehiro)

佐藤武宏 (SATO, Takehiro)

佐藤 武宏 の写真

氏名 佐藤武宏 (SATO, Takehiro)
所属 動物・植物グループ 学芸部長
専門 貝類学・甲殻類学・機能形態学
e-mail sato@nh.kanagawa-museum.jp

生きものの行動がその進化にどのように影響を与えたか、ということをテーマに背骨のない海の生きものを見ています。また、生きもののかたちが持つ意味と、それが進化の過程でどのように獲得されてきたか、ということも知りたいことの一つです。今までずっと捕食者(食べるもの)と被食者(食べられるもの)の関係とその進化に興味を持ち続けて来ていましたが、最近ではそれに加えて貝類の成長解析や、カニ類の行動などにも興味を持っています。

2023年6月1日 更新

 

プロフィール

岩手県奥州市の出身です。高校を卒業するまでは海と全く縁のない生活をしていました。こどもの頃はインドア派でどちらかというと“本の虫”でした。東京で学生生活を送ったのち、生命の星・地球博物館がオープンして12日後に新人学芸員として採用された「神奈川県立博物館を経験していない最初の学芸員」です。

神奈川県立生命の星・地球博物館の歴史≒わたしの学芸員としての履歴、なのがちょっと自慢です。

手先はそれほど器用ではないのですがオペレーションは得意なほうなので、博物館の仕事の中では、資料整理や特別展の準備におけるフォークリフトの運転やハンドリフトの操作などで重宝されたり、印刷物のレイアウトなどを任されることもよくあります。また、子どもたち相手の観察会や講座も好きな仕事の一つです。

特技や趣味はありません。好きな食べ物はワカメです。

資料収集(あつめる)

浅海の無脊椎動物資料の収集

水産技術センターとの共同調査や、漁業者の方が採集された資料などの収集をおこなっています。海の無脊椎動物は法律などのルールによって採集が制限されていますので、漁業関係者の協力が収集の大きな助けになっています。

深海の無脊椎動物資料の収集

調査船に乗船して採集した深海の無脊椎動物の資料の整理を進めています。深海調査は中の見えない宝箱に小さな小さなピンセットを入れて中身を取り出すようなものなので、採集されるものは偶然に左右され、系統立てて標本を集めることはなかなか難しいのです。

コレクションの整理と管理

当博物館には、凄まじい情熱で貝類・甲殻類の標本を収集したコレクターによるコレクションが収蔵されています(貝類は中上川・林・野村・鹿間・櫻井・宮内・永見コレクション;甲殻類は酒井・小田原コレクション)。これらのコレクションは未だに未整理のものを含んでいたり、情報がデジタル化されていないものを含んでいます。これらを博物館情報システムに登録し、広く活用できるよう日々作業をしています。

また、現在もあらたにコレクション(貝類は横山・甘利・奥村・名倉コレクション)を順次受け入れている最中です。これらのコレクションの整理は、ボランティアのみなさまの献身的な援助によって進められています。

ボランティアの方と一緒に作業を進めています

無脊椎動物に興味のある方を中心にボランティア登録をしてもらい、それぞれ月1~2回の頻度で、主に標本整理の活動を実施してもらっています。ボランティアの方によって来館する曜日が違うので、合計すると月平均4~5回、資料整理の作業をボランティアの方とともに進めています。詳しくはボランティア紹介ページをご覧ください。

調査・研究(しらべる)

外来性捕食者の被食者に対する影響

非意図的導入種と考えられるサキグロタマツメタが在来の巻貝類に与えた影響を調べています。多数の被食者の殻に残された穿孔性捕食痕を統計的に取り扱い、その影響の大きさを明らかにしようと考えています。

海岸のカニ類の行動

神奈川の磯や干潟に生息するカニ類の行動を調べています。野外で動画を撮影し、画像解析、数値解析の手法を用いて行動を詳しく調べます。

巻貝の成長解析

定期的なサンプリングをおこない、コホート分析という手法を用いて巻貝の成長解析をおこないます。観察と統計的な手法を用いて、対象となる巻貝がいつ生まれ、どのようなプロファイルで成長し、最大でどれくらいの大きさに達し、何年くらいの寿命を持つのかを明らかにします。

海岸の貝の調査

水産技術センターと協力して、神奈川県の海岸に生息する貝類について調査しています。

研究手法について

わたしの研究手法の特徴は、統計的手法や数値解析手法によるデータ処理です。そのため、一つの個体について細部まで詳しく観察したり、一つの個体の行動を長期間にわたって追跡したりというものではなく、たくさんの個体の観察や計測から全体のトレンドを推察するというスタイルが中心になります。ごく簡単な数学やコンピュータの知識は必要ですが、これらに関する専門的な知識は特に要りません。

研究資料閲覧の対応

甲殻類の酒井コレクション、軟体動物の鹿間コレクションなどは、それぞれ分類学者である酒井恒、鹿間時夫によって収集されたコレクションであり、多数のタイプ標本(新種を定義する際にその根拠とする基準標本)を含んでいます。またこれらのコレクション以外にも、いくつかのコレクションは信頼のおける分類学者が同定を保証した標本を多く含んでおり、参考標本として非常に貴重なものです。これらの資料の閲覧を希望する国内外の研究者に対して閲覧の便宜をはかり、来館の際にはその対応をしています。

資料検討をお考えの研究者のみなさま、まずはお気軽にお問い合わせください。

小学校・幼保園の先生を自然観察の名人にするには

こどもの理科離れは先生の理科離れにその原因があるのでは。こう考え、小学校・幼保園の先生を自然観察の名人にするにはどうしたらいいのだろう、という教育普及的研究を進めています。各地の幼保園の先生がたや、かわいらしいちびっこたちが研究のよきパートナーになっています。

外部資金の獲得

  • 日本学術振興会科学研究費助成基金基盤研究C(2015-2020年)研究代表者
  • 日本学術振興会科学研究費助成基金基盤研究C(2011-2015年)研究代表者
  • 日本学術振興会科学研究費補助金奨励研究A(1999-2001年)研究代表者
  • 日本学術振興会科学研究費補助金萌芽的研究(1999-2002年)研究分担者

展示(みせる)

当博物館の展示を担当しました

他館の展示を担当しました

  • 大井町名誉町民記念酒井コレクション展(2007年)標本および細密画展示担当

他館への資料の貸し出しをしています

深海生物や知名度の高い生きものを中心に、他館開催の特別展・企画展に貸し出しをしています。特別展・企画展をお考えの他館の学芸員のみなさま、まずはお気軽にお問い合わせください。これまで貸し出しをした主な生きものは、タカアシガニ(世界最大のカニ)、タスマニアオオガニ(世界最重のカニ)、オオエンコウガニ、ダイオウグソクムシ、コシオリエビ、ヒョウモンダコ(有毒タコ)、メンダコ、スベスベマンジュウガニ(有毒ガニ)、ウモレオウギガニ(有毒ガニ)などです。

教育・普及(つたえる)

博物館の講座を担当しています

できるだけ野外観察会、室内講座、室内実習のすべてのかたちで、小さな子どもから大人まで広く、貝類や甲殻類のふしぎさや面白さを伝えたいと日々考えています。

  • 室内実習「親子で貝がらに親しもう」
    小学校低学年向けの講座です。貝がらの仲間わけやかたち調べ、貝がら磨きを通じて、貝がらのふしぎを伝えます。
  • 野外観察会「磯の生きものウォッチング」
    小学校低学年から高学年向けの講座です。潮が大きく引く春の磯に出て、磯の動物や植物を観察します。生きものがどんな場所に生息していてそれにはどんな意味があるのかを考えたり、生きもののなかまわけにも挑戦します。
  • 室内実習「貝殻のふしぎを調べよう」
    小学校高学年から高校生向けの講座です。貝殻のかたちや大きさを測ったり、色の多様性を調べたり、成長の様子を調べたりする、科学の入口を覗く講座です。
  • 室内講座と野外観察「アメリカザリガニ対策の現場体験講座」
    全世代向けの講座です。外来種として悪名高いアメリカザリガニの実態と影響を知るには、まずはアメリカザリガニのことを知らなければなりません。アメリカザリガニの形態や生態に関する解説の部分を担当します。
  • 室内実習「軟体動物のからだのつくりを知ろう」
    大人や理科教員向けの講座です。二枚貝やイカを題材に、軟体動物のからだのつくりを詳しく観察します。解剖を通じて無脊椎動物と脊椎動物のからだの違いを知る講座です。
  • 友の会講座「よろずスタジオ」
    主に子ども向けの講座です。簡単な遊びを通じて貝殻のふしぎを伝えます。

出前授業・出前観察会をしています

依頼を受けて、学校や公民館などで出前授業を行ったり、野外で出前観察会を行ったりしています。

  • 県内外の中学校、高等学校での出前授業を多数おこなっています。
    近年実施した出前講座の主な内容は、カニのハサミの形態と食性の関係、巻貝の多様性、巻貝の殻のかたちとその機能、多数の標本の計測データから全体の傾向を読み取る方法、などです。
  • 視覚特別支援学校での出前授業、ワークショップをおこなっています。
    場所、人数、授業との対応など、相談に応じてさまざまなかたちで実施可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。
  • 他の公立博物館、学校、幼保園、NPO法人・地域サークルなどからの依頼を受けて、磯の生きものの観察会の講師をしています。また、学校や幼保園の先生がたに対する、自然のみかたや観察会の実施方法などに関する講座の講師もしています。
  • 行政機関・公的機関が実施する観察会や講演会の講師をしています。これまでに神奈川県観光課主催の観察会の講師や、神奈川県職員向けの専門研修の講師をした経験があります。また、医療関係者向けの講演会の講師を実施する予定です。【平成28年度・予定】
     

わからない海の生きものの名前調べのお手伝いをします

海で拾った打ち上げられた生きものや、旅行先の市場で手に入れた貝殻など、名前のわからない生きものの名前調べのお手伝いをします。標本を直接お持ちいただければライブラリーなどその場で対応しますし、写真をメールでお送りいただければこちらで調べて回答します。ダイバーの方が撮影した水中写真についても、わかる範囲内で対応しています。

実習・研修の対応をしています

  • 博物館実務実習(学芸員実習)の対応をしています。
    内容は標本作製、標本整理と標本管理、標本に関する情報のデータベースへの登録などが中心です。
  • 博物館見学実習の対応をしています。
    内容は当博物館の概要解説、バックヤードツアー、資料管理手法の紹介などが中心です。
  • インターンシップ・職場体験・研修の対応をしています。
    詳細についてはお問い合わせください。