神奈川の自然を考える
Ⅰ 神奈川の大地のおいたち私たちのすんでいる「神奈川の大地」が、どのように形成され、どのように変化してきたか、地層や岩石、化石などの証拠をもとに、「神奈川の大地」のおいたちを探ります。 大地のおいたち Formation of the Japanese Islands日本列島の基礎をつくっている岩石の多くは、ユーラシア大陸の縁でつくられました。深い海底にたまった軟泥(チャート)や、浅く暖かい海でつくられたサンゴ礁(石灰岩)などが、プレート運動によって大陸のそばまで移動し、大陸から運ばれた土砂といっしょに大陸側につけたされました(付加体)。 丹沢の海の時代 Formation of Tanzawa and Izu新生代新第三紀の中新世の中ごろ(約1,600万年前)は、地球の気温が上がり海面が上昇した海進の時代でした。この海進を示す地層には、現在の熱帯にすむものに近い貝類や有孔虫類の化石がふくまれています。当時の日本が熱帯のような気候であったと考えられます。 第四紀の環境変遷 Japanese Islands in the Quaternary Age新生代第四紀(258万年前〜現在)は、氷期と間氷期がくり返された氷河時代です。
活発な火山活動 The Volcanic Activity of Hakone and Fuji箱根火山は外輪山と中央火口丘からなるカルデラ火山、富士火山は成層火山ですが、新富士火山の下に古富士火山、小御岳火山などが重なっていると考えられています。神奈川県の台地や丘陵は、これらの火山の噴火で飛びちった火山灰層におおわれています。 Ⅱ 相模湾に生きる相模湾は、温帯にありながら暖流の影響を強く受けています。 相模湾の生きている化石 Living Fossils in Sagami Bay太古の昔から姿かたちがほとんど変化していなかったり、生息数や分布域が縮小してしまったりした生き物を、まるで化石時代の生き物が現在まで生き長らえているようだ、という意味で「生きている化石」と呼ぶことがあります。 相模湾に生きる多様な生き物たち Various Organisms in Sagami Bay相模湾は日本を代表する海の生き物の宝庫です。その理由として、黒潮の影響を強く受けていること、駿河湾に次いで日本で2番目に深い湾であること、北米プレートとフィリピン海プレートの境界域という特殊な場所であること、海岸環境が多種多様であることがあげられます。
神奈川県の海岸と生物 Organisms on the Shore in Kanagawa Prefecture海と陸との境界である海岸には、磯や砂浜、干潟や海岸林といった環境が見られます。そこには鳥類や甲殻類、貝類など、さまざまな生物が生息しています。 Ⅲ 神奈川の大地に生きる日本のほぼ中央にある神奈川県は、温暖な気候に恵まれています。 現在の生物相の成立過程 The Formation Process of Current Biota現在の日本列島の生物相は、過去数百万年にわたって氷期という寒い期間と、間氷期という温かい期間を繰り返す気候変動の結果として成立しました。氷期には、寒さに弱い生物はより温暖な低地や南方に、間氷期には、暑さに弱い生物はより寒冷な高地や北方に移動しました。 氷河時代を生き抜いたブナ帯の動植物 Organisms in the Buna Forest丹沢や箱根などの山地には、日本の代表的な冷温帯の落葉広葉樹であるブナの林がみられます。 神奈川県を特徴づける生物 Characteristic Animals and Plants of Kanagawaある地域の生物を特徴づける生物としては、固有種があげあられます。対象とする地域を広げると、富士箱根・伊豆などのフォッサマグナ地区の南部に特徴的に分布する生物も、その地域での固有種であり、神奈川県の固有種とともに、神奈川県を特徴づける生物と考えられます。 Ⅳ 人と自然のかかわり人が狩猟や採集の生活から、農耕や牧畜の生活にうつったとき、自然の破壊が始まりました。 |
展示室で語り切れない特別な内容を紹介します。