学芸トピックス―田中徳久―
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博物館の調査研究事業である総合研究とグループ研究の成果をまとめ、学芸員の田中が博士(学術)の学位を取得しました

博物館の調査研究事業である総合研究とグループ研究の成果をまとめ、学芸員の田中が博士(学術)の学位を取得しました

2015年9月27日更新

博物館では資料収集、それに基づく調査研究、さらにはその成果の展示や普及活動を行っていますが、一連の活動を支えているのが学芸員です。
研究者の免許証でもある学位の有無は、学芸員の専門性を測る物差しのひとつとして重要です。
このたび、当館学芸員の田中が、これまで、博物館の調査研究事業である総合研究とグループ研究で進めてきた研究成果をまとめ、博士(学術)の学位を下記のとおり取得しましたのでお知らせいたします。
これにより、当館学芸員の学位取得者は8名となりました。

 

学位取得学芸員
田中徳久(たなかのりひさ)

 

博士論文の内容について
[論文のタイトル]
標本データベースを活用した神奈川県の地域植物相の特徴と多様性
The characteristics and diversity of local flora in Kanagawa Prefecture through the application of the specimen database

[論文の内容]

神奈川県はその地域植物相がもっともよく把握されている都道府県のひとつと言われ(田中, 2002ほか)、特に博物館の総合研究として、神奈川県植物誌調査会とともに作成した『神奈川県植物誌2001』(神奈川県植物誌調査会編, 2001)は、「その内容はこの県のフローラ研究の量と質の高さを示している」と評価されています(植物地理分類編集委員会編, 2002)。本論文では、『神奈川県植物誌2001』のために構築された標本データベースを活用し、グループ研究として進めてきた「神奈川県の植物地理PDFファイル(3,942KB)」(田中, 2003)、「レッドデータ植物の集中して分布する地域PDFファイル(3,908KB)」(田中,2005)、「帰化植物の分布の拡大PDFファイル(1,260KB)」(田中・勝山, 2008)などの成果をまとめつつ、植物区系要素を検討し、国内の分布型では、本州・四国・九州型と日本列島全域型の植物が多く、ファオッサマグナ型や関東型の植物は少ないなどの、神奈川県の地域植物相の特徴を明らかにしています。さらに、他の都道府県で記録されている植物の種類数と自然環境要因や社会的要因と比較・検討により、神奈川県の地域植物相の多様性について、神奈川県は面積に対し、豊富な植物相を有することが示されました。

[学位論文提出先]
横浜国立大学(環境情報学府環境生命学専攻)

[学位取得年月日]
2015年9月25日(金曜)