学芸トピックス―瀬能 宏―
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学芸員の瀬能がTBSの番組に出演し、霞ヶ浦のチャネルキャットフィッシュについて解説しました

学芸員の瀬能がTBSの番組に出演し、霞ヶ浦のチャネルキャットフィッシュについて解説しました

2016年4月21日更新

学芸員の瀬能が4月10日(日曜)に放送されたTBSの番組「噂の東京マガジン」に出演し、特定外来生物に指定されているチャネルキャットフィッシュについて解説しました。チャネルキャットフィッシュはナマズ目アメリカナマズ科アメリカナマズ属の淡水魚で、口の周辺に4対のひげがあること、尾鰭が二またに分かれていることが特徴です。幼魚は日本固有種のギギ(ナマズ目ギギ科ギバチ属)に似ていますが、体に黄色い斑紋がなく、地色が一様であることにより区別できます。また、体の所々に黒い斑点があることも特徴とされていますが、写真個体(KPM-NI 11864)のように斑点が少なくてわかりにくい個体もいます。霞ヶ浦では1985年頃に確認され、1994年から増加し、2000年以降は優占種の一つとなっており、魚類や甲殻類など動物性の餌を飽食することや、最大で132 cmに達する大型種であることから、在来の水生生物に多大な悪影響を与えています。単一の種が爆発的に増加したことは、原産地との環境の類似はもちろんですが、1971年に完成した利根川河口堰の運用以降、徹底的に改変されてきた霞ヶ浦沿岸部の護岸化や水質の悪化と無関係ではないと考えられます。茨城県は2002年から駆除を行っていますが、抜本的な解決のためには効果的な駆除技術の開発はもちろんのこと、環境復元を含めた国主導での対策が必要と思われます。

チャネルキャットフィッシュの幼魚の標本

チャネルキャットフィッシュ(幼魚) KPM-NI 11864 霞ヶ浦産

チャネルキャットフィッシュの成魚の標本

チャネルキャットフィッシュ(成魚) KPM-NI 16329 霞ヶ浦産

ギギの標本

ギギ KPM-NI 36804
鴨川(京都府)産

※KPM-NIは当館の魚類標本であることを示す記号です。