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学芸員の瀬能がテレビ番組に出演し、魚の稚魚について解説しました

学芸員の瀬能がテレビ番組に出演し、魚の稚魚について解説しました

2020年1月7日更新

2020年12月20日に放送されたNHKの番組「ダーウィンが来た!―漁港で大発見!幼魚のワンダーワールド」において、学芸員の瀬能が漁港で採集された謎の稚魚がハチビキ科のハチビキに同定されることと、その発見の意義について解説しました。稚魚の採集は調査船等により沿岸や外洋に出かけていき、プランクトンネットを曳くことで行われます。日本の沿岸域はもとより、それこそ世界中の海で調査が行われていますが、長年の研究の積み重ねにもかかわらず、ごく身近な魚でもその稚魚は未知であったり、知られていてもある成長段階だけが発見されていないことがあります。近年、プランクトンネットを曳くことができないダイビングポイントでの観察や、漁港での採集が盛んになり、これまで未解明であった魚の稚魚の発見が相次いでいます。特に漁港は軽装備でアプローチできるので、誰もが意外な魚の稚魚や研究者も知らない稚魚に出会えるチャンスがあると言えるでしょう。

※稚魚:ふ化した直後の未分化の段階を仔魚しぎょひれを支持する鰭条きじょうが完成した段階からを稚魚と定義しています。鱗がある魚では鱗が形成される段階でもあります。

※幼魚:一般に稚魚はふ化後直後から浮遊生活を送りますが、浮遊期を終えて着底生活を始めた直後の段階も定義上は稚魚に相当します。しかしながら、着底後は形態や生態が大きく異なることが多く、その段階を呼び分けるために便利な用語として使われることがあります。

 


クロダイの稚魚 海岸の波が砕ける場所で生活するとされているが、この稚魚は波静かな漁港内で採集された
KPM-NI 47643 体長10.5 mm 瀬能 宏撮影

 


漁港内で採集されたブリの稚魚 流れ藻に寄り添って生活するとされている
KPM-NI 48414 体長22.0 mm  瀬能 宏撮影

 


奄美大島の水深10~12 mのガレ場で採集されたイレズミハゼ属の稚魚
プランクトンネットを曳けない環境は未知の稚魚の宝庫である
KPM-NI 36635 体長8.5 mm 瀬能 宏撮影

 

※KPM-NIは当館の魚類標本資料であることを示す記号です。