神奈川の大地[岩石・鉱物・地層・歴史] |
a09[ 火山岩 ] |
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■火山岩(かざんがん) (Volcanic Rocks) 火山岩は、マグマの中の気体になりやすい(揮発性(きはつせい))成分以外の化学成分が、そのまま固体になっている。そのため、化学組成による分類がおこなわれることが多い。化学組成による分類も統一されておらず、目的の応じて使い分けられている。また、大きな結晶(斑晶(はんしょう))の組み合わせに基づいて分類(Classification)されることもある。 図表 分類
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関連項目: |
a02 岩石の種類 |
a03 火成岩 |
a04 深成岩 |
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■溶岩(ようがん) (Lavas) 地表に出たマグマは、粘りけ(粘性(ねんせい))や化学組成、噴出場所によって、さまざまな形態の溶岩となる。マグマの粘性が小さいとサラサラと流動し、流れによる形態ができる。粘性が大きくなってくると流動にくくなり、表面がガサガサとなる。さらに粘性が大きくなるとマグマは流れなくなり、噴出したままのドーム状の溶岩になる。そして時として爆発的な噴火をすることがある。 写真 足柄下郡真鶴町岩の溶岩
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関連項目: |
a02 岩石の種類 |
a03 火成岩 |
c25 箱根火山岩類 |
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■縄状溶岩 (なわじょうようがん)(Ropy Lava, Pahoehoe Lava)の産状 粘性の小さな玄武岩(げんぶがん)質溶岩で、なめらかで波状、縄状の表面をもつ。ハワイの溶岩でよく見られ、パホイホイ溶岩とよばれる。富士山の溶岩にも見られることがある。 写真 山梨県南都留郡鳴沢村紅葉台の富士山の縄状溶岩
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関連項目: |
a02 岩石の種類 |
a03 火成岩 |
a10 玄武岩 |
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■アア溶岩(ようがん) (Aa Lava)の産状 粘性の小さな玄武岩(げんぶがん)質溶岩で、粗くデコボコした小さなトゲがたくさん出た表面をもつ。パホイホイ溶岩の下流部がアア溶岩に変化することが多い。富士山の溶岩の多くはアア溶岩である。 写真 山梨県南都留郡鳴沢村紅葉台の富士山のアア溶岩
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関連項目: |
a02 岩石の種類 |
a03 火成岩 |
a10 玄武岩 |
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■枕状溶岩(まくらじょうようがん) (Pillow Lava)の産状 粘性の小さい玄武岩(げんぶがん)質溶岩が水中に噴出して急冷されると、円筒形の枕がたくさん積み重なったような枕状溶岩となる。岩石の外側は細粒で、内側になるほど粗粒になる。枕状溶岩のすき間は、溶岩の破片や細粒のハイアロクラスタイトでうめられている。 写真 津久井郡津久井町鳥屋早戸川の枕状溶岩
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関連項目: |
a02 岩石の種類 |
a03 火成岩 |
a10 玄武岩 |
c09 丹沢層群塔ヶ岳亜層群 |
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■柱状節理(ちゅうじょうせつり) (Columnar Joints)の産状 厚い溶岩流や貫入岩(かんにゅうがん)でしばしば見られる多角柱状の割れ目(節理(せつり))を柱状節理という。玄武岩質や安山岩質のマグマが、冷却によって体積が小さくなるときにできるもので、おもに六角形状の角柱になる。 写真 静岡県下田市爪木崎の柱状節理
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関連項目: |
a02 岩石の種類 |
a03 火成岩 |
a10 玄武岩 |
a11 安山岩 |
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■斑状(はんじょう)組織 (Porphyritc Texture) 火山岩の細粒(さいりゅう)の地の部分(基質、石基)に大きな斑晶がある組織。斑晶が、肉眼で見えるものを巨斑晶、顕微鏡でしか見えないものを微斑晶という。斑晶はマグマが固まる前まで、晶出(しょうしゅつ)していた(平衡(へいこう))結晶で、鉱物固有の形(自形(じけい))をもつことが多い。 写真 足柄下郡箱根町箱根箱根峠産安山岩の偏光顕微鏡写真(オープンニコル)
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関連項目: |
a02 岩石の種類 |
a03 火成岩 |
c25 箱根火山岩類 |
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■オフィティック組織 (Ophitic Texture) 粗粒(そりゅう)の玄武岩(げんぶがん)によく見られる組織で、他形(たけい)から半自形(はんじけい)の輝石(きせき)の結晶の中に多数の長柱状の斜長石(しゃちょうせき)が深くささったような形態をいう。玄武岩がややゆっくりと冷えてできたため、粗粒で、完晶質の組織となる。 写真 津久井郡津久井町鳥屋早戸川産ドレライトの偏光顕微鏡写真(クロスニコル)
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関連項目: |
a02 岩石の種類 |
a03 火成岩 |
a11 安山岩 |
c10 丹沢層群大山亜層群 |
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■晶子(しょうし)(Crystallite) ガラス質の火山岩の石基(せっき)中にある小さな結晶を晶子という。球状、じゅず玉状、棒状、毛状などの形をもっている。はっきりとした鉱物ではなく、結晶の種(たね)と考えられている。 写真 足柄下郡湯河原町鍛冶屋産黒曜石の偏光顕微鏡写真(オープンニコル)
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関連項目: |
a02 岩石の種類 |
a03 火成岩 |
a13 デイサイト |
c10 丹沢層群大山亜層群 |
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■流理 (りゅうり)組織(Fluids Texture) 色や結晶度、組織などの違ったものが縞模様となったり、伸びた結晶が平行に流れた状態になった組織。マグマが流れながら固まったときにできる組織である。 写真 足柄上郡山北町中川上ノ原産流紋岩の偏光顕微鏡写真(クロスニコル)
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関連項目: |
a02 岩石の種類 |
a03 火成岩 |
a14 流紋岩 |
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■填間状 (てんかんじょう)組織(Intersertal Texture) 火山岩の石基(せっき)の組織で、たくさんの針状や長柱状の斜長石(しゃちょうせき)の間をガラスや多種の微小な結晶がうめているもの。間をうめるものがガラスだけのときはガラス基流晶質(きりゅうしょうしつ)(hyalopilitic)とよび、輝石(きせき)や磁鉄鉱(じってこう)などの有色鉱物のときは間粒状(かんりゅうじょう)(intergranular)とよぶ。 写真 足柄下郡箱根町畑宿下二子山産安山岩の偏光顕微鏡写真(クロスニコル)
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関連項目: |
a02 岩石の種類 |
a03 火成岩 |
a11 安山岩 |
c25 箱根火山岩類 |
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■火山噴出物(かざんふんしゅつぶつ) (Volcanic Products, Pyroclastic Rocks) 火山活動によって噴出されたマグマ起源のものを火山噴出物とよび、気体、液体、固体の3態がある。気体は火山ガスや水蒸気、液体は溶岩や熱水、固体は火山砕屑物(さいせつぶつ)(火砕物(かさいぶつ))などである。噴出場所は大気中とは限らず、水中であることも多い。また、砕屑物の堆積した環境によっても、独特の産状が形成されることもある。 写真 足柄下郡真鶴町岩の火山噴出物
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関連項目: |
a02 岩石の種類 |
a03 火成岩 |
a11 安山岩 |
c25 箱根火山岩類 |
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■火山弾(かざんだん) (Volcanic Bombs)の産状 噴火によって火口から放出されたマグマが、空中を飛びながら冷え固まったもの。高速で飛行するため、流線(りゅうせん)形、紡錘(ぼうすい)形、リボン状の外形をもつ。表面にはパン皮状の割れ目ができることがある。表面付近はきめが細かく、中心付近は孔が多く(多孔質(たこうしつ))なる。 写真 静岡県御殿場市宝永火口丘産の火山弾
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関連項目: |
a02 岩石の種類 |
a03 火成岩 |
a10 玄武岩 |
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■溶結凝灰岩(ようけつぎょうかいがん) (Welded Tuff)の産状 火山砕屑物が熱いまま互いに集まり固まった(溶結した)もの。溶結が進むと、すき間がなくなり、軽石やスコリアがレンズ状の黒曜石(こくようせき)になる。 写真 小田原市入生田産の溶結凝灰岩
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関連項目: |
a02 岩石の種類 |
a03 火成岩 |
c25 箱根火山岩類 |
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■スコリア (岩滓(がんさい)、Scoria)の産状 多孔質の火山噴出物で、黒色、暗灰色、暗褐色など色の濃いものをスコリアとよぶ。玄武岩質〜安山岩質マグマが発泡したもので、多孔質のため密度は小さい。 写真 横須賀市長井荒崎海岸のスコリアの地層
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関連項目: |
a02 岩石の種類 |
a03 火成岩 |
c14 三浦層群 |
a10 玄武岩 |
a11 安山岩 |
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■火山豆石(かざんまめいし) (Accretionary Lappilli, Pisolite)の産状 火山灰が丸く固まったもの。豆粒サイズで、直径1cm以下が多い。内部は同心円状の構造をもつこともある。火山の墳煙の中で、核となる物質のまわりに水分と細粒の火山灰が吸着されてできたと考えられている。 写真 横須賀市長井松ヶ崎の火山豆石の地層
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関連項目: |
a02 岩石の種類 |
a03 火成岩 |
c14 三浦層群 |
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■水中火山噴出物(すいちゅうかざんふんしゅつぶつ) (Hyaloclastite)の産状 火山噴出物のうち、水中で噴出したものをハイアロクラスタイトとよぶ。ハイアロクラスタイトは水中で急冷するため、急冷縁(きゅうれいえん)をもつ枕状溶岩の破片の大型のものから、細粒のガラス状のものまでさまざまなサイズの構成物がある。粒度(りゅうど)や礫(れき)の形状によって区分される。 写真 足柄上郡松田町寄中津川の水中火山噴出物
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a02 岩石の種類 |
a03 火成岩 |
c10 丹沢層群大山亜層群 |
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PACS M
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