神奈川の大地[岩石・鉱物・地層・歴史]
 d03[ 海底火山の時代 ]
 
海底火山(かいていかざん)の時代 (Age of Subaqueous Volcanos)
 ユーラシア大陸の東の縁では、2000万年前ころから大陸の一部が分裂をはじめ、新しい海ができはじめた。一方、太平洋の海底ではフィリピン海プレートの中央にあった海嶺(かいれい)が分裂し、四国海盆(しこくかいぼん)が拡大していった。分裂した海嶺の1つが伊豆・小笠原海底火山列となった。1700万〜1100万年前の間、フィリピン海プレートの北東縁にあった伊豆・小笠原海底火山列では太平洋プレートの沈み込みにより、活発な海底火山の活動が続いていた。この火山活動によって、丹沢山地をつくる枕状溶岩(まくらじょうようがん)や水中火山砕屑岩(すいちゅうかざんさいせつがん)、火山噴出物(かざんふんしゅつぶつ)などが海底火山の周辺に厚く堆積した(丹沢層群(たんざわそうぐん))。丹沢層群には、陸から流されてきた砂や泥、礫(れき)などはなく、サンゴやオウムガイ、有孔虫(ゆうこうちゅう)などを含む石灰岩(せっかいがん)がある。亜熱帯の環境を示すサンゴやオウムガイの化石、水深2000〜3000mの海底に生息する有孔虫化石などは、丹沢層群が大陸から遠く離れた、亜熱帯地域の海山や火山島周辺の海底でできたことを物語っている。海底火山から離れた海底にも、火山噴出物や火山島、あるいは海底斜面から押し流された砂や礫が堆積し、地層が形成された(葉山層群(はやまそうぐん)、三浦層群(みうらそうぐん))。葉山層群や三浦層群は、三浦半島の基盤をつくる地層である。葉山層群は1500万年前ころ、三浦層群は1200万〜600万年前ころ、伊豆・小笠原海底火山列と海溝の間に広がる深さ2000〜3000mの海底斜面に堆積した地層である。
図表 海底火山の時代
   

 関連項目:

c09 丹沢層群塔ヶ岳亜層群
c07 葉山層群
c14 三浦層群

 

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