神奈川の大地[岩石・鉱物・地層・歴史]
 d05[ 丹沢衝突の時代 ]
 
丹沢衝突(たんざわしょうとつ)の時代 (Age of Collision of Tanzawa)
 ユーラシア大陸東縁での大陸の分裂は1700万年前ころから急速に進み、1600万〜1500万年には日本海と日本列島の骨格が形成された。1500万年前ころ、フィリピン海プレートの動く方向が北向きに変わったため、伊豆・小笠原弧は日本列島の本州に衝突を開始した。南の海で形成された丹沢ブロックも、しだいに本州に近づいてきた。800万〜600万年前ころ、丹沢ブロックと本州との間は、フィリピン海プレートがユーラシアプレートに沈み込む境界となり、水深2000〜3500mの舟状海盆(しゅうじょうかいぼん)(トラフ)ができた。このトラフに、隆起した丹沢ブロックや本州側の陸地から押し流されてきた泥や砂などが堆積した(寺家層(じけそう))。500万年前になると、さらに丹沢ブロックは本州側を押し上げ、本州側から大量の礫と砂が供給されて地層ができた(落合層(おちあいそう))。丹沢ブロックはプレートと一緒に沈み込めず、本州側に付加した。丹沢ブロックの東にひろがる海底斜面で形成された葉山層群(はやまそうぐん)や三浦層群(みうらそうぐん)も、伊豆・小笠原弧の北上にともなって本州に付加し、今の房総半島や三浦半島、大磯丘陵の基盤をつくった。房総半島や三浦半島などにみられる玄武岩(げんぶがん)類や蛇紋岩(じゃもんがん)類は、葉山層群とともに葉山・嶺岡(みねおか)隆起帯を構成している。これらの岩石は葉山層群よりも前に形成されていたもので、丹沢山地の衝突現象にともない葉山層群に取り込まれ、隆起してきたものである。
図表 丹沢衝突の時代
   

 関連項目:

c12 丹沢層群早戸亜層群
c14 三浦層群

 

はじめにもどる  もくじ  前のページにもどる  

E PACS M useum of N atural H istory
EPACS 自然史博物館