■伊豆衝突(いずしょうとつ)の時代 (Age of Collision of Izu) 丹沢ブロックが本州に付加(ふか)すると、プレートの沈み込み境界は丹沢ブロックの南側に変わった。250万年前、本州に近づいてきた伊豆ブロックに押された丹沢ブロックは、著しく隆起して山地(丹沢山地)となった。丹沢ブロックと伊豆ブロックとの間には、プレートの沈み込みによる深いトラフができた。丹沢山地は隆起を続け、大量の土砂や礫をトラフに押し流した。土砂や礫の堆積は70万年前で続きトラフを埋めつくした(足柄層群(あしがらそうぐん))。伊豆ブロックの北上により、足柄層群は地層が垂直になるような著しい変形をうけた。やがて足柄層群が堆積した海が陸化し、伊豆ブロックは本州と陸続きとなり伊豆半島となった。一方、隆起した本州側の小仏(こぼとけ)山地や丹沢山地の東側では、急勾配の海底斜面が形成され陸から押し出された土砂や礫が堆積した(中津層群(なかつそうぐん))。中津層群から産するゾウやサルなどの化石は、当時の陸地が温暖であったことを物語っている。さらにその沖合いには水深数百mの海が広がり、本州側の陸地から流されてきた土砂や火山灰が堆積して、上総層群(かずさそうぐん)が形成された。この海はしだいに浅くなり、やがて陸化していった。 図表 伊豆衝突の時代